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松坂隼人関係で…… 実は 仁さん エンジェル綾子さんの お顔ご存知なのでは!と疑心暗鬼してたのです。 それがくつがえされる 女神の様にとの表現が綺麗過ぎて 益々 このストーリーに引き込まれてしまいます。
美しいエンジェルさんに、恋をしてしまった仁さん....💘 そりゃあ 忙しいなか 彼女に逢うためにはるばるやって来たんだから、 漢 神楽坂 仁😎、ここは迷わずアタックしちゃうよね⁉️ 先ずはメールフレンドの「God」として逢うのか❓️ それともベストセラー作家「神楽坂 仁」として、 通りがかりの偶然を装って 逢う❓️ 「God」=「神楽坂 仁」なのは白状しちゃうのか否か....⁉️ キャアー( 〃▽〃)♡ 私も 仁さんと同じく、 ドキドキが止まりませ~ん😍♥️♥️♥️
仁さんの自問自答が…もう一目惚れという範囲を超えちゃってるよね💘参っちゃってるし🤭 l’m in love with you ←人気作家なのでキザってみました🤣昭和だな〜🤣 悦子さん高太郎さんに速攻連絡入れたに違いない😆 仁さん、作らず自然体がいいと思います😊だって綾子さんがそうだから☺️𓂅 𓈒𓏸𓂃 🌿𓈒𓏸
仁はジムニーを追いかけながら心臓がドキドキしていた。
ちょうど間に車が一台入り赤信号で停止した。しかしまだドキドキは止まらない。
青信号に変わると再び車が動き出す。しばらく走ると仁の前の車が左折したので仁はアイボリーのジムニーの真後ろになる。
しばらく直進するとジムニーは左手にあるコンビニの駐車場へ入った。
広い駐車場だったので入っても怪しまれないだろうと思い仁もそのまま続く。そしてジムニーの斜め前に車を停めた。
仁がエンジンを切った時ジムニーから女性が出て来た。
仁の位置からは女性がほぼ真正面に見えた。もちろん正面から見た女性は第一印象通りのエキゾチックな美女だった。
女性は細身のジーンズにオフホワイトのパーカーを着ている。
(あれが本当に『エンジェル』なのか? まさか工場には『エンジェル』と同じ種類の車が二台あるんじゃねーだろーなー?)
そこで仁は思いついた。女性が『エンジェル』かどうかを確かめる為には今メールを送ればいいのではないかと。
女性がコンビニの店内へ姿を消すと仁はすぐにメッセージを打ち込む。その内容はこうだ。
【お疲れ様。僕は外での用事を終え今コンビニの駐車場にいます。コンビニの看板に『ベルギーチョコパフェ』って書いてあるけどあれって美味いのかな?】
仁はわざと今いるコンビ二の看板に書いてあるスイーツ名を打ち込んだ。このメールに対する反応を見れば女性が『エンジェル』かどうかが判明するはずだ。
女性がコンビニを出た瞬間にこのメッセージを送ろうと仁は緊張しながらその時を待つ。
5分程すると女性が出て来た。手には小さな袋を提げている。
(よし、今だ)
仁はすぐに送信ボタンを押した。するとすぐに女性が反応してポケットからスマホを取り出した。
女性はジムニーの運転席に乗り込むとスマホを覗き込んでいる。その間中仁の心臓は激しく高鳴り張り裂けそうだった。
1~2分すると仁のスマホが鳴った。仁はすぐにメッセージをチェックする。するとこんな返信が届いていた。
【お疲れ様です。メッセージを見てびっくり! 私も偶然今そのコンビニにいてちょうど『ベルギーチョコパフェ』を買ったところです。これ凄く美味しくて私はもう3回目です(笑)】
仁はメッセージを確認すると目を閉じてフーッと息を吐いた。間違いない。今斜め前にいる女性は『エンジェル』本人だ。
仁は感無量の気持ちでいっぱいになる。しかし不自然に思われないように慌てて返事を送った。
【そりゃ凄い偶然だな。イートインで食べていくの? それともお持ち帰り?】
【家に帰ってからゆっくり食べます。あれ? 『God』さんって甘党でしたっけ?】
【酒も好きだけどスイーツも好きだよ。じゃあ僕も買って帰ろうかなー、教えてくれてありがとう】
【どういたしまして】
最後のメールを打ち終わった『エンジェル』は少し微笑んだ後エンジンをかけた。そしてジムニーが動き出す。
仁も慌ててエンジンをかけると怪しまれないように適度に距離を開けてジムニーを追った。
ジムニーは軽井沢の中心部へ向かいながらしばらく右折左折を繰り返す。
やがて別荘地が集まる地域に近づくとジムニーは『水車の道』へ入って行った。
(『エンジェル』が住んでいる別荘は水車の道沿いにあるのか?)
この辺りの地理に詳しい仁はそう思った。
仁の予想は当たったようでジムニーは水車の道をぐんぐんと進む。そして徐々にスピードを緩めた。
左折ウィンカーが出た後ブレーキランプが光りジムニーは左手の別荘の駐車場へ入って行った。
後ろにいた仁は一度その家の前を通過する。しかし最後まで確認したかった仁は少し先にある小さな交差点で車をUターンさせるともう一度ジムニーが入って行った別荘の前まで戻る。
仁の車がその別荘の前に差し掛かった時コンビニの袋を提げた『エンジェル』が玄関の鍵を開けている所がチラリと見えた。
(やっぱりこの家か。俺は天才か? 初日にあっさりと家までわかっちまった)
仁は思わず笑みを浮かべる。
(探偵業にでも転職すっかなー。それにしても近いな。俺の別荘からはざっと7~800メートルって所か?)
仁は『エンジェル』の家が自分の別荘からあまりにも近い場所にあったので驚く。これなら長期滞在していればいつか『エンジェル』にバッタリ出くわす可能性もある距離だ。
(さてと、今日のところはこれで撤収だな)
仁はご機嫌なあまり無意識に口笛を吹きながらハンドルを握っていた。
そして別荘までの途中にあるイタリアンレストランへ寄りテイクアウトの夕食を購入する。それから別荘へ戻った。
別荘に戻った仁はそのまま少し早めの夕食を取る事にする。
冷やしておいたビールと買ってきたピザとイタリアン総菜をテーブルの上に並べる。ピザはまだ温かかった。
そしてビールを飲みながらピザを食べ始めた。食べながら先ほど見た『エンジェル』の姿を思い返していた。
(無茶苦茶美人だったな。まさかあんなに美人だとは思ってもいなかったからなんとなく裏切られた気分だな)
仁の顔が緩む。そしてビールを一口グイッと飲んだ。それから深刻に悩み始める。
(俺は一体これからどうしたらいいんだ?)
仁は想定外のこの事態に戸惑っていた。
(いや、最初から声はかけないし陰から見るだけの予定だったよな? だからそーすりゃあいいんだ)
そう自分に言い聞かせてもう一口ビールを飲んだ。
(とりあえず、明日は道の駅に行ってもう少し『エンジェル』を観察するとするか)
そこで仁は自問自答を始める。
(お前は本当に見ているだけでいいのか?)
(本当は声をかけたいんじゃないのか?)
(声をかけて一体どうしたいんだ?)
(第一今のお前は『神楽坂仁』であって『God』ではないんだぞ)
(『God』が実は『神楽坂仁』だったってバラす手もある)
(バラした途端嘘をつかれていたと知って『エンジェル』が怒るかもしれない)
(そうなるとメールもそこで終わるかもしれない)
(いや、そうするとドラマのネタの仕入れもそこで終了する)
(だったらこのままじっと見守るだけの方がいいんじゃないか?)
様々な思考が仁の頭を駆け巡る。
(マジで俺は一体どーすりゃいいんだ?)
いくら考えても答えは見つからない。こんな事は初めてだ。大抵の事は少し考えればどう行動すべきかすぐにわかるのに、冷静さを失った今の仁は明らかにおかしい。
(参ったな___)
そこで仁はスマホを手に取るとメッセージを打ち込んだ。送り先は悦子だ。
仁はここまでの経緯を悦子にざっと説明する。するとすぐに悦子から電話がかかって来た。
「もしもしー仁?」
「ああ悪い。緊急事態だ」
「うん、見た見た。すっごい美女だったんだってー?」
「いや、びっくりしたよ。ミスなんとかに出してもいいくらいのレベルだ」
「で、それに仁ちゃんが一目惚れしちゃったってわけねー」
悦子は電話口の向こうでニヤけている。
「そ、そんなんじゃねーよ、ただ変な女じゃないみたいだから少しくらい交流を持ってもいいのかなーって悩んでる訳だ」
「でもさぁ、仁が今『実は僕がメル友でしたー』なんて宣言したらメールはそこで終わっちゃうわよね。それに彼女だって嘘をつかれてたーって怒るかもしれないし? 一番最悪なのはメル友もリアル交流も両方絶たれちゃう事かしらー?」
悦子はもっともらしく言う。
「だよなー。あーなんで俺が『神楽坂本人でした』って言わなかったんだろうなー、マジでミスった」
「まあ無理もないわよ。最初はどんな女性かわからなかったんだから。でもまあもし彼女と接触したいなら『神楽坂仁』として対処するしかないんじゃない?」
「やっぱりそうだよなー、それしかないよな」
「そうよー、顔を整形でもしない限り別人になりすますのは無理でしょう? あ、それともメールをしてたのは双子の弟でしたーとか言っちゃう?」
悦子は楽しそうにケラケラと笑った。
「からかうなよなー、まあちょっと一晩考えてみるわ」
「うん。で、どう? 彼女を見てドラマのインスピレーション沸いた?」
「ああ、ちょっと今頭の中で形になりつつあるよ。飯食い終わったら早速取り掛かるわ」
「あら―良かったーそれだけでも軽井沢に行った甲斐があったわねー、期待してるわよ仁ちゃん! じゃあ頑張ってね! 恋も仕事も! ウフフ♡」
そこで悦子がブツッと電話を切った。
「まったくなんだよあいつはひとごとだと思って……」
仁は重いため息をついてから食べかけのピザを口の中へ放り込んだ。