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話によると、瑠衣と奏が新宿駅へ向かおうとした所、今立っている場所に黒ずくめの格好をした数人の男らが唐突に『いたぞ! この女だ!!』と言い、瑠衣を強引に黒のバンに引き摺り込み、そのまま逃走したという。


瑠衣も奏も、拉致した男たちとは面識がない。


逃走車も黒いバンだけしか分からず、突然の事にナンバーを控える事をすっかり失念してしまった、と奏は肩を落としながら気弱に呟いた。


現場での状況説明は一時間以上掛かり、何かあった時のために、侑と奏は連絡先を記入したメモを警察官に手渡し、翌日、警察署で事情聴取をする事になった。


警察官は敬礼をした後、原付の白いバイクに乗り、その場を去っていった。


「音羽さん、俺がいない間にこんな事件に巻き込んでしまった事…………本当に申し訳ない」


侑は奏に向かい合い、深々とお辞儀をして謝罪した。


「先生が謝る必要は全くありません。悪いのは、瑠衣ちゃんを連れ去った男たちですから……! それに、先生だって被害者なのですから、頭を上げて下さいっ」


「先ほど、怜と連絡を取って、音羽さんを自宅待機させて欲しいと頼まれたから、うちで怜が来るのを待とう。いいか?」


「こちらこそすみません。怜さんが来るまで待機させて頂きます……」


侑と奏は、一度自宅へ戻り、怜が来るのを待つ事にした。




***




黒のバンに押し込まれた瑠衣は、まずスマホを取り上げられた。


没収した男が彼女のスマホをしばらくの間操作した後に電源を切られ、貴重品が入った小さいバッグを奪われた。


両手を後ろに回されて縄で縛られ、目には黒くて細長い布のような物を何重にも巻きつけられる。


「なっ……なんで…………こんな事…………」


数人のうちの誰かが、瑠衣の頬にナイフをペタペタと軽く叩きながら下衆な笑いを滲ませたような声音で答えると、冷たい金属の感触に彼女の背筋にゾワリと鳥肌が立った。


「あれぇ? お前何も知らないんだ? なら後で教えてやるよ。とりあえず、俺らの言う事聞いて大人しくしろ」


瑠衣を拉致した車は、どうやら高速に乗っているようだ。


信号待ちなどで停車している様子がなく、かなりの速度で走行していると体感する。


だが、視界を遮られた瑠衣には一面の漆黒しか分からないし、どこへ向かっているのかも分からない。


(響野……せんせ……い…………怖いよぉ……)


男らに押さえつけられ、身動きが取れない状態で彼女は恐怖に慄きながら黙っているしかなかった。

もう一度、きかせて……

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