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風呂から上がった圭は、部屋着を着ると、濡れた髪をバスタオルで大雑把に拭きながら、リビングへ戻る。
美花は、ガラス戸の前に立ち、夜景をじっと見やっているようだった。
「待たせてしまって、すまない」
「ううん……だいじょぶ……」
背後からそっと彼女を抱きしめながら、色白の頬に唇を寄せた。
美花に眼差しを向けられ、圭は、あどけない表情に浮かぶ小さな花弁に唇を重ねると、筋張った手を明るめの長い髪に滑らせる。
「美花……」
大切な至宝を手放さないように、圭は美花を掻き抱く。
「美花。俺の前から…………突然消えたり……しないよな?」
不安を滲ませながら吐露する圭が、きょとんとしている美花に見上げられる。
「圭ちゃん? 今日…………付き合い始めたっていうのに……いきなりどうしたの?」
首を傾げながら、クリッとした瞳を潤ませる美花を、再び抱き寄せる圭。
「……っ…………圭ちゃっ──」
「美花……おいで」
彼の腕に包まれている美花が、微かに身じろぎをさせると、圭は腕を緩めながら彼女の手を取り、リビングの右側にあるドアへ向かった。
全て黒で統一されているベッドルームに、美花を促すと、隣で息を詰まらせるような気配を感じた圭。
「けっ…………圭ちゃ……ん……」
「君が考えている事はしない。だが…………美花の唇は……存分に堪能させてもらうからな?」
美花の肩を抱きながら、窓際のダブルベッドの淵に腰を下ろす二人。
頬に張り付いていた明るい髪を、圭は指先で払いながら、美花の耳に掛けると、顎に触れながら唇を重ねた。
「……っ…………んうっ……」
「美花……」
細い腰に腕を絡ませながら、圭は、大きな手で美花の後頭部を支えて抱き寄せる。
「…………け……い…………ちゃ──」
「…………美花」
──美花を失う事が、俺にとって…………一番怖い。
不安をかき消すように、彼は美花を何度も呼びながら、唇を奪い続ける。
「美花……!」
唇を塞いだまま、圭は美花をベッドに横たえさせると、身体を小さくビクッと震わせる彼女に、抱き竦めながらキスを落とし続けた。