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コメント
10件
今回も最高でした~😭続きが気になります(`;ω;´)投稿頑張ってくださいね❗️
見るの遅くなってごめんなさい!今回も最高です✨続き待ってます
わぁぁぁぁぁぁ😭 そりゃ、健三さんに兄弟ですか?なんて聞かれたら困惑するわな…
残り一ヶ月。
口にしなくても、数字だけが頭の奥で重くなっていく。
権兵衛と並んで歩く昼の道は、妙に穏やかだった。
会話は少ないけれど、歩幅は合っている。
そのとき、声がかかった。
「お、権兵衛さんやないですか」
スワロウテイルだった。
踏分誠一が軽く手を上げる。
「久しぶりやなぁ。相変わらず忙しそうや」
「ええ、まあ」
権兵衛が答える。
神柴健三が続く
「こんにちは。今日はお一人ですか?」
その問いに、権兵衛は自然に首を振った。
「いえ、二人で」
三人の視線が、ふっと揺れた。
踏分が一瞬だけ、純の方を見る。
――いや、見た気がした、という顔。
ほんの刹那、焦点が合いかけて、すぐに外れる。
「……?」
恵美も、同じように首を傾げた。
「……今、誰か……?」
その空気の揺らぎを拾ったのは、神柴健三だった。
一歩前に出て、丁寧に視線を向ける。
「失礼ですが……」
言葉を選ぶ間が、あった。
「……隣に立たれている方、
どなたか存じ上げている気がしたのですが……」
純は、何も言わない。
ただ、そこに立っている。
神柴は眉を寄せ、続けた。
「……ご兄弟、でしょうか?」
“誰ですか”ではない。
“何かがいた気がする”から出た、苦し紛れの問い。
「……え?」
権兵衛が、思わず声を漏らした。
「兄弟……?」
踏分が苦笑する。
「いや、俺も一瞬そう思っただけや。
気のせいやろ」
恵美も慌てて頷く。
「そうですね。失礼しました」
神柴は一礼した。
「こちらの勘違いでした。
お気になさらないでください」
三人は、それ以上深追いせず、そのまま去っていった。
“違和感”だけを残して。
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しばらく、二人は黙って歩いた。
権兵衛が、低く聞く。
「……いつも、あんな感じなのか」
純は、前を見たまま答えた。
「まぁ、最近はね」
軽い言い方。
慣れてしまった声。
権兵衛は何も言わなかった。
ただ、歩く速度を、ほんの少しだけ合わせてきた。
純は思う。
(あと一ヶ月)
(“見えかける”ことすら、
なくなるんだろうな)
それでも今は、
同じ影が地面に落ちている
その事実だけで、歩けた