テラーノベル
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犬吠埼病院の病室を訪れた信愛たちを、ベッドに横たわる焔垂が迎えた。
右足首にはギプスが巻かれているものの、その表情は思っていたよりも元気そうだった。
「焔垂くん?」
「ああ、信愛!」
「よ、よう!」
信愛の後ろから顔を覗かせた茜たちにも気づき、焔垂は少し気まずそうに笑った。
信愛はベッドのそばまで歩み寄ると、ギプスで固定された右足へ視線を落とした。
「大丈夫?骨折?」
「まあ、な、けど手術するレベルの骨折じゃ
なかったよ。打撲寄りの骨折みたいだからさ」
「打撲寄りの?」
「不全骨折だってさ。ヒビは入ってるけど
小さな亀裂なんだって」
茜の説明を聞いた信愛の表情から、わずかに緊張が抜ける。
「なら自然治癒で治る感じ?」
「ああ、そんな感じ」
「あ〜よかった〜・・・」
さくらが心底安心したように息を吐く。
「もう心配しましたよ」
朝陽も胸を撫で下ろすように言った。
そんな仲間たちの顔を見回し、焔垂は申し訳なさそうに眉を下げる。
「悪かったな・・みんな、心配かけたみたいで」
◇ ◇ ◇
その頃、病室にはもう一人の来客がいた。
事故が起きた会場の関係者、美沙だった。
「本当に申し訳ありません!」
美沙は深々と頭を下げた。
焔垂が何か言おうとするより先に、母・八乙女鳴子が静かに口を開く。
「まあ、息子も大事には
至りませんでしたし、ここは穏便に」
「あ、ありがとうございます!」
顔を上げた美沙に、鳴子はすぐさま続けた。
「ですが、これは会場側の落ち度です」
「はい・・・仰る通りです」
「またこのような事が起こらないように
安全対策の強化をお願いします」
「は、はい・・」
鳴子の声音は穏やかだったが、母親として譲れない強さが滲んでいた。
「幸い息子はこうして怪我はしたものの
無事に済みました。けど、最悪の事態を
招いていた可能性もありますし」
そして、美沙の目をまっすぐに見つめる。
「それをお約束していただけるんなら
これ以上は言及ません」
「はい・・・お約束いたします。安全管理を徹底し
再発防止に全力を尽力させていただきます!」
美沙は再び深く頭を下げた。
「この度は誠に申し訳ありませんでした」
しばらくして、鳴子がふと思い出したように焔垂を見る。
#普通
野々さくら
543
805
44
ありあ
159
「でも照明が落ちそうって、よく気づいたわね?」
「いや、たまたまだよ
照明見てたらグラグラしてたからさ」
「やるじゃない!」
「ま、まぁな・・・」
母親に褒められ、焔垂は照れくさそうに視線を逸らした。
しかし、鳴子の表情はすぐに呆れたものへと変わる。
「でももう、こんな無茶しないでよね
茜ちゃんから電話貰った時はヒヤヒヤしたわよ」
「ご、ごめん・・・」
焔垂は母親の小言から逃げるように、そっと布団へ視線を落とした。
それから一同は、焔垂と茜にある可能性を話した。
照明落下事故を引き起こしたのは、TAMAYAの元アシスタント兼マネージャーである千秋かもしれない事。
「元アシスタント・・・」
焔垂が呟く。
「私たちはこれから事務所に行って
その千秋さんについて調べてくるから」
信愛の言葉に、朝陽が力強く頷いた。
「バッチリ調べてきますから!
焔垂先輩はゆっくり休んでてください!」
「悪いな・・・」
申し訳なさそうにする焔垂に、さくらは優しく笑いかける。
「謝らなくていいよ」
信愛は茜へと向き直った。
「それから茜は焔垂くんの側に居てあげて」
「うん・・・わかった」
すると、ここまで黙って話を聞いていた美月が口を開いた。
「なら美沙、悪いけどみんなの事頼むわね?
私は八乙女君のことを学校に報告してくるから」
「はい!もちろんです!」
美沙は迷うことなく、力強く頷いた。
コメント
1件
おお、焔垂くん無事でよかった…!不全骨折って聞いてちょっと安心したわ。でも事故の原因が千秋って元アシスタントかもしれないって展開、めっちゃ気になる。鳴子さんの母親としての強さと優しさがすごく沁みたし、信愛たちが事務所に調査に行く流れで次が楽しみすぎる🔥