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過去編

1 - 第1話 ユラ・シャーロット

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2024年02月04日

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…私は、いつか立派な剣士になって

主人に仕える

そう決めていたし、そうなると信じていた

お母様…エマ・シャーロットは剣技のプロ

お父様…レオル・シャーロットは執事の偉い人

そう聞いていたから、主の攻撃、右腕として、生きて行く

そう、信じて疑わなかった

「ッ…なんで…!」

私は、剣技の才能が無かった

嗚呼、それに試しでやってみた魔法が

とてもとても、才能に満ち溢れているでないか

どうして?と、悔やんだって仕方ない

親は既に、剣技を諦め魔法に力を注いでいる

だけど、両親は共に、魔法なんか扱った事がない筈だ

その時から

「あ、アレが、ユラって云う_w」

「あー!あの、剣の才能を持った親なのに_w」

「実は、父親が浮気して魔法の能力者と子を授かったとか云う_w」

とか、云う、根も葉もない噂が飛び交っていた

「お父様!」

「…どうしたんだい?ユラ。此方においで」

「…うん、!」

こんな事があったにも関わらず、お父様は優しく受け止めてくれる

…でも

「…レオル…って、ユラ!こっちに来なさい!」

「あ…ッ!」

お母様は、お父様が嫌いだ

そりゃあ、当然だろう、私のせいでこんなことに…

って、あ…ッ

「「ユラ、大丈夫/かい?」」

「う…うん、ちょっと、擦りむいた、だけ」

手を引かれた拍子、足を縺れさせてしまったみたいで

右膝がじんじんと痛む

「…ッ..ポロッ」

膝はそこまで痛くない、膝が痛いんじゃ無かった

でも何故か、私の瞳からは涙が溢れてくる

「ねぇ…ッ、お父様ぁ…ッ!如何して…ッ?仲、悪くなっちゃうの…!」

私の記憶のお父様は、優しくて、浮気なんかする人じゃ無かった

私の記憶のお母様は誠実で、誰かを嫌う行為なんかする人じゃ無かった

それなのに、私のせいで、こんなことになるなら

「私のせいなら…私、此処から、出てってもいいから…ッ!」

だから、

「だから…お母様もお父様も仲良くなってよぉッ…!ポロ」

泣きじゃくった、赤子の様に

涙は枯れなかった

お母様もお父様も泣いていた

呻き声は、嗚咽は聞こえなかった

でも、時々、鼻を啜る音が聞こえた

あぁ、私と同じだ_って

その時、感じた

私も、お父様も、お母様も、誰も、嫌いになってなんか居ない

少しだけ、壁があっただけだ

「ごめんね、ユラ…それに、エマも…でも、信じて欲しいんだ…」

「判ってるわ…私も、御免なさい、考え無しに疑って…」

「_!」

仲直り、してくれた…!

「えへへっ…お母様、お父様!」

「…?何かな、ユラ」

「どうしたの?」

「大好きだよ!」

ふふ、と、二人の顔に笑顔が生まれる

「嗚呼、勿論、僕もだよ」

「えぇ、そうね」

…そうして、私はまぁら様のメイドになった、剣技は使えないけれど、地位だって、高くはないけれど

新人の、魔法使いのメイドとして、新しい道を歩むのだった_

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