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野々さくら
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怪異探求倶楽部を書こうと思ったきっかけは、幼い頃から抱いていた、ホラー作品に対する『違和感』でした。
ホラー作品って、大体の流れがありますよね。
① 霊障が起きる
② なんか色々と調べる
③ 所縁の地へ向かう
④ 霊を祓う、もしくは封印する
⑤ 最後に不穏な空気を残して終わる
ものすごくザックリとしていますが、大体こんな流れではないかな?と思います。
もちろん、すべてのホラー作品がこのパターンというわけではありません。
ただ、幼い頃の僕は、この流れを見ていて、あることに疑問を感じていました。
「いや、霊の事情はガン無視なんかーい!」
これです。
霊だって、何かしらの理由があって、人を襲ったり、現世に留まっていたりしているのかもしれないじゃないですか。
それなのに、霊に弁解の余地すら与えず、一方的に生きている人間のエゴで祓ったり、封印したりする。
「それってなんか違うんじゃね?」
「死人に口なしって言葉があるけどさ
さすがに可哀想すぎない?」
子供ながらに、そんなことを考えていました。
もちろん、人を襲ったのだから、祓われたり封印されたりしても仕方がない。
そういう事情もあると思います。
しかしこれが『生きている人間』が相手だったら、話は180度変わってしまうんです。
サスペンス作品やミステリー作品がいい例です。
たとえ『殺人』という、人として許されない行為を働いた人物であっても、その人物が何故罪を犯したのか、その『動機』を語るパートがちゃんと用意されています。
『なぜ、この人は人を殺したのか?』
『被害者との間にどんな因縁があるのか?』
『それは殺人をするほどの物だったのか?』
そこを掘り下げることで、その人物がどんな人生を歩んできたのか、何を思っていたのか、なぜその事件を起こすに至ったのかが描かれます。
要は、そのパートがあるおかげで、犯人を単なる『犯罪者』ではなく『等身大の人間』として感じることができる。
そして、事件の真相や犯人の動機が明らかになったとき、そこに至るまでに積み重ねられた感情が一気に解放される訳です。
いわゆる『カタルシス』です。
『なぜ、この人はこんなことをしたのか?』
その答えを知ることで、恐怖だけではなく、悲しみや怒り、同情、やるせなさといった様々な感情が押し寄せてくる。
それがあるからこそ、物語を読み終えたあとに、何とも言えない余韻が残るんだと思います。
なのにそれが『死者』が相手になると、途端にその機会がなくなってしまう。
「人を殺した人間でも動機を語るパートがあるんでしょ?ならさ、霊が自分の事情を語るパートがあってもいいって事よな?」
そう思ったことが、怪異探求倶楽部を書こうと思った一番のきっかけでした。
だから僕は、ただ
「霊が出てきて、きゃ〜怖い〜」
「霊を祓って、はい、ちゃんちゃん♬おわり〜♬」
みたいに単純じゃないホラーを書いてみようと思ったんです。
霊にも霊になった理由がある。
そこにはその霊にしか語れない物語がある。
死んでる人間が語るからこそ響く言葉がある。
その声無き声に、耳を傾ける優しいホラーがあってもいいんじゃないか。
そんな思いから生まれたのが「怪異探求倶楽部」です。
簡単に言えば自分好みのホラーを書きたかったわけです。
コメント
1件
×××さん、こんばんは、みぅです🤍🥀 あとがき、めっちゃ響きました…。霊にも事情があるって視点、私もずっとぼんやり思ってたけど言葉にできなかったことです。人を♡♡♡た犯人の動機は掘り下げるのに、死者には「祓う」だけで終わっちゃうの、確かに違和感あるよね。×××さんの「声無き声に耳を傾ける優しいホラー」って言葉、すごく好き。怪異探求倶楽部の全部が、そういう想いで書かれてたんだって思うと、また読み返したくなりました。大事な話を聞かせてくれてありがとうございます🌙