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第20話:小隊戦、波の外で
訓練センターの第二アリーナ。

壁一面が黄波色のセーフティガラスで覆われ、天井には香波計測用のセンサーが何十基も並んでいる。

床の一部は香波反応で発光するパネル、別のエリアには波を乱す「干渉装置」が置かれていた。


拓真は黄色のベストを着け、三人一組の小隊の一員として立っていた。

隣には、長身で短髪の女子・美咲(みさき)。髪は赤茶でポニーテール、肩までのトレーニングジャケットからは、赤寄りの橙波が絶え間なく滲んでいる。

もう一人は、丸眼鏡をかけた細身の男子・新(あらた)。黒髪を七三に分け、緑波の中間色を安定して放っている。


対戦相手は、橙波地区の隼を含む小隊。彼らの香波は、揺らぎもなく安定した濃色だ。

開始の合図と同時に、橙波側が一斉に前進。

美咲が即座に前に出て香波で牽制し、新は後方から波の干渉を試みる。


——だが拓真は、敢えて香波を強く出さなかった。

香波社会では、波が弱いほど相手の意識から外れやすい。

その“死角”を使い、相手の横へ回り込む。


干渉装置の死角に入り込んだ瞬間、拓真は床パネルを踏み込み、持っていた練習用の捕縛リングを隼の足元へ滑らせた。

リングは香波反応で作動しないため、波で防御している相手でも反応が遅れる。

「っ……!」隼が一瞬バランスを崩し、美咲の波が直撃。


審判の旗が上がる。

「ヒット、黄波チーム!」


息を整える拓真の肩に、美咲が軽く拳を当てた。

「やるじゃん。あんた、波より動きがキレてきたね」

新も眼鏡を押し上げ、にやりと笑う。

「波を使わない戦法、けっこう脅威だよ」


観客席の隅、蓮が腕を組んでこちらを見ていた。

彼の口元が、ほんの少しだけ緩んでいるのを拓真は見逃さなかった。

——波が弱くても、勝ち筋はある。そう実感できた瞬間だった。


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