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ちいさな手の、まほうの道

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ちいさな手の、まほうの道

19 - 第19話 森の精霊と出会う

2025年08月17日

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その日の夕方、わたしはお手紙をぎゅっと胸に抱えて、森へ向かった。だって、星の女王さまに届けるには、きっと森の奥にいる“だれか”の力が必要だと思ったから。


森の中はしんとしていて、木の葉がさわさわ揺れる音だけ。

ときどき鳥の声がしても、すぐに消えてしまう。

でも、不思議とこわくはなかった。

胸の中のお手紙が、わたしを守ってくれている気がした。


小さな泉のほとりに着いたときだった。

水面がふわっと光って、きらきらの粒が舞いあがった。


「……!」


その光はだんだん集まって、

小さな人のかたちになった。

耳が葉っぱのようにとがっていて、

服は花びらみたい。

まるで絵本の中でしか見たことない“精霊”そのもの。


「こんにちは、ミナ」

声は鈴みたいにやさしく響いた。


「どうして、わたしの名前知ってるの?」

「森は全部、聞いているから」


わたしは胸にかかえていた手紙を見せた。

「これ、星の女王さまに届けたいの」


精霊はすこし笑って、

「あなたの字は曲がっているけれど…心はまっすぐだね」

そう言って、手紙をそっと受け取った。


「わたしが夜空まで運んであげるよ」


わたしは思わず手をあわせて、

「ありがとう!」と声をあげた。

そのとき精霊のまわりに、また光の粉がきらきらと舞った。


──星の粉だ。


わたしは目を見開いて、その光を見送った。

女王さまへ続く道は、本当にあるんだ。

ちいさな手の、まほうの道

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