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「そうキス❤︎私の唇にチュッ❤︎て!」
梓は目を閉じてキスのジェスチャーをする。
「いやいや、何でそうなるんだよ!だから信じてるって!疑ってないから!」
「だから!信じてるならキスしてって言ってるの!」
梓は頬を膨らませる。
「だからなんでキスって話に」
「猥褻物陳列!」駿の言葉を遮るように梓は駿破滅の五文字を口にする。
「うぐっ・・・」
そう言われてしまっては駿は何ひとつ言い返す事ができない為、梓へのキスを受け入れるしかなかった。
「わ、かわったよ・・キスだな」
「え?本当に!?本当にキス?」
梓は駿の手を両手で包み込むように握り目をキラキラと輝かせながら聞く。
それに駿は顔を赤ながら黙って頷く。
「やったぁー❤︎」梓は両手を高らかに突き上げバンザイで喜ぶ。
「こ、コラ!こんな住宅地で騒ぐなよ!誰かに聞かれてたらどうすんだよ!!」
「あ・・ごめん・・嬉しくってつい」
「何がついだよ・・まったく・・・」
駿は呆れているのか、それとも照れているのかわからない表情をする。
「なら、ハイ!キスして❤︎」
梓は目を閉じて駿のキスを待つ大勢に入る。
「いやいや、さすがにココはまずいって!せめてあっちの公園の物陰に」
住宅地のど真ん中で教え子にキスなど出来るわけもなく、駿は奥に見える公園にを指さす。
「えー!?ココでいーじゃーん」
「誰が見てるからわからないだろ!?だれかに写真とか撮られたりしたら一発でアウトなんだから!」
「うーん、もう、しょうがないなぁ〜わかったよ〜・・」
梓は納得したような納得しないような表情で駿とともに公園へ歩いて行く。
駿と梓は公園の薮の中に身を潜めて向かい合っている。
「え?こんなトコでキスすんの?」
「しょうがないだろ!誰かに見られる訳にはいかないんだから」
「まぁ、それもそっか」
駿は呼吸をする。
「なら・・するぞ・・金森」
駿は梓の両肩に両手を添える。
「うん・・来て・・先生」
目を閉じてキスを待つ梓に駿は、周りに人が居ない事を確認しながら優しく口付けをする。
「あ///先生の唇柔らかい❤︎」
頬を赤らめた梓が目をトロンとさせながら言う。
「バ、バカ言うな!まったく!ほら行くぞ」
駿は照れながら、梓の手を引き、人目を気にしながら公園から足早に立ち去る。
キスを終えた駿と梓はしばらくの間言葉を交わさないまま住宅地を歩いていた。
「ほら!着いたぞ」
目の前には梓が母親と暮らしているアパートがあった。
「えー?もう着いちゃったの?もっと先生と話してたかったなぁ」
梓は両手で駿の手を握ると左右にブラブラと大袈裟に揺らす。
「冗談言ってないで!早く!ホラ!」駿は梓に帰るように促す。
「冗談じゃないんだけどなぁ」梓は駿に聞き取れないレベルの小声で呟く。
「ん?何か言ったか?」
「ううん。何でもない!送ってくれてありがとね先生!また明日❤︎」
梓は元気よく手を振るとアパートへと帰って行った。
梓と別れた駿は自宅までの道を疲れ果て様子で歩く。
「はぁ〜・・なんか今日は色んな事が一気に起こりすぎたなぁ」
駿は自分の手で肩を揉みほぐす。
「今日は早めに寝ようかな・・・」
自宅へ帰り、食事を済ませ一息ついた駿は、今日一日の自分の行動を思い返していた。
駿は時間が経過し落ち着くにつれて、自分がやった事がとんでもない事だったのだと再認識し、自己嫌悪に陥っていた。
「あぁあぁあぁあぁ、俺はなんて事してしまったんだ!あああああああ」
駿は両手で顔を覆い、雄叫びを上げる。
「というかそもそも、金森に見せる必要あったか?いや、なかっただろ!絶対に無かったよな?」
駿は梓に淫部を晒してしまった自分を責め続ける。
教師でありながら風俗を利用するという事は、確かに褒められた事ではない。それは事実だ。
酔った勢いだったとか、風俗嬢には話を聞いてもらっただけで、性行為の類は一才していないとか、そんな事は世間には関係ない。
聖職者たるものいかなる時も誠実であれ!という世間の声は令和となった今でも根強く残っているから。
しかし、だからといってそれが犯罪か?と言われるとそうでは無い。
利用した店が違法な本番行為を秘密裏に斡旋している、いわゆる裏風俗だったと言うのならば、話は違ってくるが、きちんと国が定めた風営法に準じた営業をしている善良なの風俗店を利用しただけで警察沙汰になどなる訳がない。
それが学校側にバレたとしても、よくて転勤、悪くて解雇になる程度で済んだはずだ。
しかし、今の駿はそうではない。
今は未成年である教え子に自分の淫部を晒して、おまけにキスまでしてしまった変態教師という事実が乗っかってしまっている。
「あああああ!断ればよかったぁぁ!そうしとけば警察沙汰には・・!あああああもうどうしよ・・・」
今になってその事実が駿の頭の中を台風のように荒れ狂った。
頭がパニック状態で正常な判断が出来ていなかったのだろうが、そんな理由を語った所で罪が消えたり軽くなったりはしない。
「まぁ、でも、やっちゃった事を今更言ったってどうしようもないしな・・・」
今後悔した所で、自分がやってしまった事が消えてなくなるわけでは無い。
自己嫌悪に陥っていてもしょうがないと、駿は気持ちを切り替えて風呂に入るべくソファから立ち上がる。
その時。
プルルルルルルルル。
駿のスマホから着信音が鳴り響く。
「え?警察?」咄嗟にそう頭をよぎった駿は恐る恐るスマホを手に取り、ディスプレイを確認する。