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まさかコンテストを紹介してくれるなんて😊 せっかく作った作品だから是非挑戦したほうがいいね まわりの皆さんの方が2人の気持ちに気づいてますね😍
朔也さんの勧めで コンテストに挑戦、また美宇ちゃんの新しい道が開けた✨いい結果が出ますように👍 そして、2人の仲がもっと深まりますように😊

年末年始休み美宇ちゃん、キャンセルして朔也さんと二人で過ごしたら 二人の仲もぐ〜んと縮まるだろうな! 私の願望だけど‥‥笑笑
ふたご座流星群を見に行ってから、二人の関係はさらに自然になった。
その変化に陶芸教室の生徒たちも気づいていたが、誰も口にはしない。ただ、静かに見守ることにしたようだ。
札幌で開かれる個展の作品はほぼ完成し、朔也はひと息ついていた。
一方、美宇は人形作りに没頭しながらも、思うような色に焼き上がらず、かなり苦戦していた。
この日も終業後、焼き上がった人形を見つめては、重いため息をついた。
(どうして思うような色にならないの?)
その時、朔也がそばに来て言った。
「もっとピンクを濃くしたいんだよね? だったら、アルミナの分量をもう少し増やしてみるといいよ」
「え? あ、ありがとうございます。私の調合はアルミナが少なすぎたんですね」
「うん、もう少し入れれば、このブルーに負けない色になると思うよ」
「分かりました。次の焼成のときに試してみます」
「あとは、温度だな……。もう少し低めの温度で焼いてごらん」
「分かりました、やってみます」
美宇は打開策が見え、思わず嬉しくなる。
すると朔也は棚から一枚のチラシを取り出し、美宇の前に置いた。
「このコンテストに出してみたら?」
「えっ?」
美宇が目の前のチラシを見ると、そこには『女性陶芸家によるアートオブジェ展』と書かれていた。
「アートオブジェ展?」
「うん。オブジェだから、陶器の人形なんて、ぴったりだと思うよ」
「…………」
公募に出すことなど考えてもいなかった美宇は、驚いていた。
「でも、私の人形はまだ試作段階ですし……」
「そうかな? 僕には十分作り込まれた立派なオブジェに見えるし、あとは色だけだろう? 思うような色に仕上がったら、出してみたら?」
「…………」
戸惑っている美宇は言葉が出ない。
「まあ、締め切りまでまだ時間はあるから……いい作品ができたら出してみればいい」
「……はい」
そこで、朔也は話題を変えた。
「さて、今日はもう終わりにするかな。そういえば、年末は東京に帰るんだよね?」
「はい。28日から年明けの4日まで帰る予定です」
「そっか。久しぶりにご両親のところでゆっくりできるね」
「はい。青野さんは札幌のご実家に帰らないんですか?」
「うん、この前札幌に行ったときに少し寄ったから。年末年始はここでのんびり作陶してるよ」
「そうですか……」
美宇がそう答えると、朔也は片付けを始めた。
10分後、アパートへの道を歩きながら、美宇の心は沈んでいた。
(寒い真冬のこの地で、青野さんは一人きりでお正月を迎えるの?)
そう思うと、美宇の胸は切なさでいっぱいになる。
(昨日までは東京へ帰るのを楽しみにしていたのに……なんだろう? なぜこんなに心が重いの?)
胸の中に広がるもやもやに、美宇は戸惑っていた。
アパートに戻った美宇は、夕食をとりながら、朔也から渡されたコンテストのチラシをもう一度見た。
(せっかく青野さんが勧めてくれたし、出してみようかな……でも、落ちたら恥ずかしいな)
臆病な美宇は、これまでコンテストに応募したことが一度もない。
それでも、朔也に勧められると、不思議と挑戦してみたい気持ちが湧いてくる。
(よし! 思った色がちゃんと出せたら、応募してみよう!)
美宇はそう心に決めた。
翌週、美宇は朔也に教わった配合で釉薬を作り、人形を焼成した。
窯を開ける瞬間、心臓が高鳴る。これで五度目の挑戦だった。
これまで思うような色が出ず、何度もがっかりしてきた。
(えいっ!)
意を決して、美宇は重い扉を開け、中を覗き込む。
すると、一番手前に並べた三つの人形のうち、一つが見事な色に焼き上がっていた。
「わぁ……成功したかも!」
美宇は嬉しさのあまり声を上げる。
その声に気づいた朔也が、コーヒーを淹れる手を止めてガス窯のそばへ来た。
そして、中を覗き込む。
「お! いい感じに仕上がってるね」
「はいっ! 青野さんのアドバイス通りにやったら、完璧に仕上がりました!」
美宇はそう言って、まだ少し温かい天使の人形を慎重に取り出し、テーブルの上に置いた。
その人形は、どこから見ても完璧だった。
淡いブルーと薄ピンクのドレスを纏った天使は、空を見上げて手を合わせ、目を閉じて祈りを捧げている。
その表情はとても穏やかで、口元にはかすかな笑みが浮かんでいた。
陶器とは思えないほど繊細な作りのその天使は、どこから見ても見事な出来栄えだった。
「素晴らしい! これは、陶芸の枠を超えた芸術品だね。絶対コンテストに出すべきだよ」
「……いろいろ考えましたが、ダメもとで挑戦してみようかと」
「うん、それがいい。これは七瀬さんの新境地になると思うから、絶対にチャレンジすべきだ」
「はい。コンテストの情報を教えていただいて感謝します」
「搬入は任せて! 僕がいつも使ってる運送サービスを手配するから」
「よろしくお願いします」
美宇は、望み通りの作品に仕上がった喜びと、新たな挑戦への興奮で胸が高鳴っていた。