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夜の路地裏。星は、“あの日”と変わらず空に瞬いている。彼と共に星を見たあの日…
チミーは決意に満ちた表情で、静かな道を進んでいく。
真実を確かめるために。現実を見極めるために。
──その背後から、底抜けに明るい声が響いた。
「チミー? どうしたの? こんなところで……もしかして、迷っちゃった?」
振り返る。そこに立っていたのは──
深紅のマントを身にまとい、フードを深く被った小柄な影。
どこからか風が吹き、フードを攫うようにめくった。
現れたその素顔──希望を映す黄金の瞳。守護者の象徴である王冠。
そして、太陽のような笑みを浮かべる、かつてのドリームだった。
「ど、どうして昨日……人を殺したの!?」
チミーの声が震える。
しかし彼は、まるで本当に“何もおかしなことなどしていない”かのように、首をかしげて答えた。
「殺した? 何のこと? 僕は“裁き”を与えてあげただけだよ」
その言葉は、無邪気で残酷だった。
「裁き……?」
「そう。人を傷つけたんだ。なら、自分が傷ついて当然じゃない? 死んだって仕方がないと思わない?」
彼は、微笑みながら続けた。
「僕、やっと気づいたんだよ。
“信じること”って、優しさなんかじゃない。あれは“弱さ”だったんだ。
本当の優しさっていうのはね──“正しくあるために、なんでもできる強さ”のことなんだ」
「……違う!」
チミーは、狂気に染まったその瞳を正面から見据えた。
「信じることが弱さだなんて、そんなの間違ってる!
誰かを信じるってことは、いつか裏切られるかもしれないっていう恐怖と隣り合わせなの。
それでも信じ続けられる人こそ、本当の優しさを持った人だよ!」
一呼吸、置いて──
「ねぇ、ドリーム。まだ戻れるよ。
思い出して。あなたが“信じたかった優しさ”って、どんなものだったの?」
……その言葉で、何かが変わることを願っていた。
けれど──
「残念だよ、チミー。キミなら……わかってくれると思ったのに」
その瞬間、眩い閃光が走る。
──光の槍が、チミーの胸を貫いた。
音もなく、彼女の体は崩れ、塵となって風に舞う。
「チミー!!??」
凍りついた声が、路地裏に響く。
──あぁ、そこにいたんだね。ナイトメア。
さあ、どうする?