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八幡宮は自分のボロボロとなった家の前にたどり着くと、少し悲しそうな顔をした。
「…そうだよね…当たり前だよ、あはは…」
八幡宮は頭を搔いた。
_きっと、彼女も悲しんでいるのだろう。
レイラーはそう思うが、口には出さなかった。
八幡宮はレイラーの方を振り返ると、手招きをした。
「でも、大丈夫。」
八幡宮はニヤリと笑う。
家中に散乱する瓦礫を超えて、八幡宮について行くと_レイラーは、地下室の前にたどり着いていた。
「…警報鳴った時、念の為に…ね?」
金属の音が鳴り響き、まるでダンジョンでも探索しているかのような雰囲気と、それに伴うかのように寒気が襲ってくる。
「…」
思わずレイラーは狼狽えた。
変な寒気が襲ってきたのだ。
八幡宮はドアノブに手をかけると、ゆっくりとそれを開け、ギィ、と音がした。
光は差し込まなかったが、八幡宮は薄暗い部屋に入ると、電気をつけてくれた。
「…ふぅ、電気は通ってるみたいだね、よかったよかった。」
地下室は部屋1つ分の広さしかない。
全てが金属で出来ており、レイラーは、ただゆっくりとそれを見渡す
本が大量に積まれており、それは天井に届いてしまうほど多かった。
机はPCデスクほどの大きさの机1つしかない。
年季の入ったダンボールに食料が無理やり詰め込まれており、どうにか生活しよう_なんて抵抗が垣間見える。
「…さて。」
八幡宮は床に座ると、切り出すように話し始めた。
「…話そうよ、宇宙のこと。」
「わ、わかった。」
レイラーは、固唾を飲んだ。
宇宙_そんなものは、一度も興味を持ったことがなかった。
月も、陽も、当たり前だと_そう思っていた。
_だが今から、その全てが_ひっくり返ってしまうのだ。
レイラーは、未知にそっと触れようとしていたのだ。
___
(…お母様は確かに、冷酷で…傍から見たら嫌な人だったと思う。)
(…でも、なんで殺されたんだろう。)
みぞれは考えた、出やしない答えをずっと追い求めていた。
母親のタヒを弔うことすら許されなかったのだ_せめて原因を見つけたいと思っていた。
「…首を突っ込むな…ってお父さんに言われたけど…」
「……最期くらい…知って欲しいってお母様は思ってるんじゃないかな…なんて。」
みぞれはベランダから差し込む朝の陽を見つめ、不器用に笑った。
「…あっ、そうだ。」
「お別れしてから…椎名さんとレイマリさんにお礼を伝えるのを忘れてました…。」
みぞれはなんとなく眠れないためベランダで陽を眺めていたが、それに区切りをつけるかのように部屋へと戻った。
(椎名さんは、休校になってるって言ってましたよね…)
(かくいう私も、病院自体が壊れてるから、それまでは休みですし)
(…一度連絡してみましょうか…)
(しばらくしたらまた、職を探したりしないといけないですけど…後でいいんです、そんなのは。)
みぞれはふぅ、とため息をついた。
(…少し、眠くなってきた…)
みぞれはぼんやりとしてきた瞼に抗うことはせず、ゆっくりとそれを閉じた_
___
目を覚ます。
_いつも通りの自室だ、生活リズムは完全に狂ってしまったが、病院がないこと以外は、完全にいつも通りの日常といえる。
みぞれはスマホを開くと、椎名からの返信に気が付いた。
『こちらこそありがとうございます!』
どこか子供らしいとすら思う元気な返事にみぞれは少し癒される。
「…椎名さんは、時々悲しそうな顔をしていましたから…」
「…きっと、未だに辛いかもしれませんけど…わたしは、椎名さんから切り出されるまでは…何も言わないって決めました。」
みぞれはスタンプを返すと、スマホを閉じ、ゆっくりと外を見やった。
あちこちで再建のため工事が行われているので、うるささを覚える。
「…」
「…こういう時…何してましたっけ、あはは…。」
_みぞれは、頭を搔くと_外に出ようと思い付いた。
散歩でもすれば多少は気が紛れるだろう_そう信じて。
___
「…」
人は_工事のために派遣されたであろう男性しかおらず、そこには学生の1人もいなかった。
「…そうですよね、そとは今危険では無いとはいえ_」
「…争い続けた外に出るなんて…嫌ですよね…」
みぞれは青空を見やって、悲しそうな顔をした。
みぞれは_外に出たはいいものの、このボロボロの社会の中で、どうやって息をすればいいのか分からなかった。
「…」
みぞれは目的もなく歩いた。
何かいい事があるのではないかと思い、ただふらふら歩いていた。
_そして、考えた。
_母親は誰に殺されたかをだ。
何日も考えたが答えは出ない_それが、彼女ほモヤとなって消えようとしなかった。
(…リィン・システムを持ってても死ぬなにか…)
(…どうやって?どうやって殺したんですか?)
(…悪用されてしまいそうですよね、もし何かの能力だとして…。)
(私は…)
(私の、お母様は…何をしたんですか…?)
みぞれの足音があちらこちらで行われる工事でひた隠される。
なんとなく道に置かれていたベンチに座り、青空を眺めた。
みぞれの青い目が同じくらい青い空をとらえる。
(…リィン・システムすら超えた”タヒ”って、なんなの……?)
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