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「あの……音羽さんは響野先生をご存知だって事は…………高校時代、吹奏楽部でトランペット吹いてたん……ですか?」
瑠衣が辿々しく質問すると、奏はサバサバした口調で彼女に答える。
「高校時代だけですけどね。彼も高校時代に吹奏楽部でサックス吹いてて、今も時々二人で吹奏楽の話をしたりしてます」
「そうだ。そういえば怜も、高校は吹奏楽部強豪校へ進学してたな……」
瑠衣と奏の会話に、侑が遠くに視線をやりながら、独り言とも取れる口調でポツリと呟く。
「あの…………ちなみに音羽さんと葉山さんって、どちらの高校だったんですか?」
「私は都立片品です」
「俺は藤森学園高校です」
(うわぁ……片品と藤学!? ガチの吹部OBOGじゃん!)
瑠衣が瞠目しながらも半ば引き攣ったような笑顔を浮かべると、奏が瑠衣に質問を返してきた。
「九條さんは、高校はどちらだったんですか?」
「えっと、私は東林大学附属菅戸高校……です」
「げっ…………菅戸……」
「なにぃ!? 菅戸だと!?」
怜がピクリと片眉を上げた。
元吹部カップルの返答に、瑠衣は思わずのけ反ってしまい、侑は腕を組みながら三人の様子を黙ったまま見つめている。
怜のリアクションに奏が宥め、瑠衣に苦笑を見せながら謝る。
「九條さん、ごめんなさいね。怜さん、吹奏楽部強豪校の人に会うと、変にライバル心を剥き出しにするんです。私の出身校を聞いてきた時も同じ事言ってたし。『子どもかっ』て感じですよね」
奏の言葉に、瑠衣は曖昧に笑う事しかできなかった。
(それにしても、このお二方、ある意味圧が凄い……!)
瑠衣は微笑しながらも、この状況に驚く。
多摩地区での吹奏楽部強豪校、都立片品、藤学、菅戸のOBOGが一堂に会している。
こんな状況、よほどの事がない限り、そうそうある事ではないし、この三校は毎年吹奏楽コンクール都大会に出場している。
瑠衣は久々に吹奏楽部時代の話ができた事に嬉しさを感じ、奏と怜に向けて更に質問を続けた。