TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


「それで……奏はどうしたいの?」


奈美が奏を見つめながら聞いてきた。


アーモンドアイの目尻が少し上がっている。


それは彼女なりの真剣な眼差しだ。


「どうしたいっていうか……正直、どうしていいのか分からないんだよね。私も過去に付き合った事のある人は一人だけで、恋愛経験なんて、ないようなものだし……」


「奏は、谷岡さんと食事に行った。葉山さんとは、私たちの結婚式の後、お茶したんだよね? 一緒にいて楽しかったのは?」


「う〜ん……」


奏は斜め上に視線を向けながら、思考を張り巡らせる。


一緒にいて楽しかったのは、同じ曲が好きで高校時代に吹奏楽部だった、という共通点のある怜だ。


結婚式の後、ラウンジで時間を忘れ、自然体で怜と話せた時の事を奏は思い出す。


でも、この気持ちを親友夫妻に言っていいものか。


なかなか答えを出さない彼女に、奈美が更に問いかけてきた。


「じゃあ、谷岡さんと一緒にいた時と、葉山さんと一緒にいた時、ホッとするというか、この人といると何だか安心するなぁ、って思ったのは?」


「どっち…………かなぁ……」


安心する、とかホッとする、となると、奏はまだ怜に対して安心感は抱けないと思った。


怜に突っ込んだ事を言われると距離を取り、身構えてしまう自分がいる。


先ほどから黙ったまま話を聞き、どちらか迷っているような奏の表情を見た豪が、突然口を挟んだ。


「俺が女だったら、迷わず葉山を選ぶな……」


「ちょっと! 豪さん、私は奏に聞いてるんだからね?」


奈美が嗜めるように豪に言い返すと、彼女の夫は、真剣な表情を向けて奏に答えた。




「さっき、妻が言いかけてたけど、谷岡は確かに女癖が悪い。だけどいいヤツ。矛盾してるけどね。まだ奈美と付き合ってた頃だけど、一時期別れた状態だった事があって、互いの連絡手段が全くなかった時期があったんだ。再び俺と奈美を結びつけてくれたのが谷岡」


(この二人にも、そんな険悪な時期があったなんて知らなかったな……)


意外な話をしてきた豪に、奏も言葉の続きに耳を傾ける。


「葉山は、とにかく好きな女性には一途。高校時代、アイツは吹部に入って彼女ができて、その間、他の女子に告白されたけど、バッサリ振ったんだよな。俺が冗談混じりに『お前、女子にモテたくねぇの?』って聞いたら、アイツ、真顔で『好きな女の子だけにモテなければ意味がない』とか言って。コイツカッコいいなって、俺は男ながらに思ったね」


そういえば、圭の婚約者、園田真理子と怜が二人きりでいた時も、真理子が怜の事をまだ好きだと言った際、彼がキッパリと迷惑だ、と言っていたのを思い出す。


「アイツ、外見がイケメンだし、社会人になってから遊び出すかな、と思ったけど全然だった。彼女は何人かいたみたいだけど、高校時代と変わらず彼女思いで一途だったし、内面もイケメンだから、セフレとかワンナイトとかも一切聞いた事がなかった」


豪が伝えてくれる言葉に、奏の視界が少しずつ歪んでいきそうになるが、ここはグっと堪えた。


「音羽さん。葉山が元カノと一緒にいるのを見たって言ってたけど、葉山の中では、元カノの事はもう既に終わってるはずだよ」


豪の言葉を聞き、奏は『色々教えてくれてありがとうございます』と答えると、今度は奈美が何かを感じたのか、ポツリと呟く。




「何となく奏の様子を見てて思ったんだけどさ…………奏は葉山さんの事、好きになってるよね……」


親友に言い当てられた奏は、無言のまま、辿々しい様子で肯首する事しかできない。


それにしても。


奈美の親身になって話を聞いてくれる姿に、奏は何となく違和感のようなものを抱いていた。


(奈美、何か変わったような。前はもっと大人しくて、シャイな性格だったと思うんだけど……)


ぼんやりと親友の事を考える奏。


奈美が言った事と、奏の様子を見て何かを思いついたのか、夫の豪が悪戯っぽく笑った。

この作品はいかがでしたか?

64

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚