テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
仙崎ひとみ/九龍
#異世界
エルナ
「ふぅ、バルトさんとの勝負、なんとかなった……」
(でも、公爵様……あんなにはっきり『私の料理がいい』って言ってくれるなんて)
(思い出すだけで、エルナの頬が赤くなる)
アルフレッド
「……エルナ。ここにいたか」
エルナ
「公爵様! おはようございます。……何か、食べたいものでも?」
アルフレッド
「いや。今日は、お前に『外』へ付き合ってほしい」
エルナ
「えっ? 外……ですか?」
アルフレッド
「……昨日の勝負のご褒美だ。たまには、狭い厨房以外の世界も見せる必要があると思ってな」
(二人は、身分を隠すためにラフな格好で領都の市場を歩いている)
エルナ
「わぁ……! すごい活気! 公爵様、見てください、あの大きなリンゴ!」
アルフレッド
「……アルだ。外ではそう呼べと言っただろう」
エルナ
「あ、すみません……アル様。でも、いいんですか? 私なんかが隣を歩いて」
アルフレッド
(無言で、エルナの手をグイッと引き寄せ、恋人繋ぎをする)
エルナ
「ひゃ……っ!? アル様、手が……!」
アルフレッド
「……人が多い。……はぐれたら、私が困る(ボソッ)」
エルナ
(……嘘だ。公爵様の魔力があれば、はぐれるはずないのに……!)
(街のカフェにて。二人が甘いクレープを食べていると……)
客A
「おい、聞いたか? 王宮に『真の聖女』が降臨したって噂だぞ」
客B
「ああ。なんでも、枯れた花を一瞬で咲かせるほどの奇跡を起こしたとか。……公爵邸にいる聖女は偽物だったんだな」
エルナ
(!? ……枯れた花を、一瞬で……?)
アルフレッド
「……エルナ。気にするな。くだらない噂だ」
(その時、街の中心にある『鐘』が不吉な音で鳴り響く)
エルナ
「なに……? 急に、冷たい風が……」
(街の人々の悲鳴が聞こえる。見上げると、王宮の紋章を掲げた馬車が、こちらに向かって猛スピードで走ってくる――)
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!