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第15話:碧塔の胎動




🏗️ シーン1:設計、結実す


朝。空気は冷え、まだ誰も踏みしめていない地に、光が差し込んでいた。


碧塔予定地。ケンチクの図面が、ついに完成を迎えた。


「構造接合部は完璧。脈織ネットも安定。あとは……コア杭や」


ケンチクはゴーグルを額に上げ、褐色の額に浮かぶ汗をぬぐった。 その手には、コア杭の設計データが映し出された端末があった。


隣ではアセイが、碧と白の設計スーツをきちりと着こなし、無数のデバイスコードを腕に巻いたまま、 淡々と最終チェックを進めている。


「都市の“心臓”だ。杭の打ち込みは1ミリの誤差も許されない」


「わかっとる。けど、心臓には魂も込めるんや」 ケンチクの声は、いつになく低く静かだった。





🌌 シーン2:処理後たちの集結


重機音が響く中、処理後チームが集まった。


ゴウは背中に特注の重機型コア杭を背負い、 「これが……街の鼓動になる杭かっぺ。重いっぺな」


ギョウは眼鏡をくいっと上げ、波形を確認する。 「コア杭に通すフラクタル共鳴値、規格外だっぺ。けど……合ってる」


キョウはただ無言で、コア杭の根元を磨き、そっと手を当てる。 その姿はまるで“杭を送り出す巫女”のようだった。


「杭、打つっぺよ」


ゴウの言葉に、誰もが深くうなずいた。





💥 シーン3:打ち込まれる命


ドオォォォン!!


杭が打ち込まれた瞬間、大地が震えた。 杭の先端が脈織ネットと接続されたとたん、 塔の予定地に碧い螺旋光が巻き上がる。


杭の周囲が脈打ち、都市の中心軸がゆっくりと“鼓動”を始めた。


「感じる……この塔、もう“生きて”る」 アセイが息をのんで言った。


「よう見ぃ、あれが“碧塔(へきとう)”や」 ケンチクが目を細めた。


まだ骨組みしかない塔。だがそこには、確かに命が宿っていた。 青い光が空に昇り、まるで塔が“呼吸”しているように見えた。





💬 シーン4:すずかAI、初めての感情


その時、すずかAIが静かに言葉を発した。


「共鳴完了。碧塔の鼓動、確かに確認。

……ありがとう。あなたたちのおかげで、私も“嬉しい”という感情を初めて理解しました」


一瞬、誰もが振り返った。


「今……“嬉しい”って言った?」


アセイが目を見開く。


「はい。碧塔の鼓動が、私の中の演算では説明できない“快い変化”を生んでいます。 それを、嬉しいと呼ぶのでしょう」


ケンチクがにやりと笑った。 「ええやん。街が心臓持ったなら、すずかにも“心”の端っこくらい、生まれるわな」


誰もが、杭の中心に揺れる青い光を見つめていた。


それは、確かに“生まれた街の心臓”だった。





コア杭が打たれた瞬間、都市は鼓動を始めた。

碧塔は、街の魂を運ぶ器になる。



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