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私の家族は他の家庭より少し人数が多い。父、母、兄弟を合わせると7人になる。
兄2人、弟2人私はその真ん中だ。 賑やかで騒がしい毎日、 そんな日々がずっと続くと思っていた。
あの日までは…
ー遡ること1週間前ー
優佳「おはよう〜」
母「おはよう」
朝リビングへ向かうと母と父が居て、テーブルには出来たての朝食が並んでいた。父は相変わらず新聞を読んでいる。
テレビをつけると、街中の美味しいグルメリポートをやっていた。
優佳「いいな…」
と言いつつ焼けた食パンを頬張る。
TV「次のニュースです。昨日〇〇市で歩道を渡っていた親子に車が突撃し親子のうち3人が死亡、1人は重症で救急搬送されました」
(ここから近い、確か通学路だったような)
TV「尚、運転手からは3倍の アルコール数値が検出されており、他の乗客も皆同様の数値が検出されています」
コメンテーターが弔いの言葉を口にする。
画面が切り替わり、親族の祖父母が映る。
親族「つい最近まで元気だったのに…もう居ないなんて信じられません。残された孫を思うと本当に不憫でなりません。私達は加害者を絶対に許しません」
モザイク越しからでも伝わる加害者への憤りと怨み。
それもそうだろう何せ加害者は誰一人として死んでいないのだから。
母「いつまでも食べてないで支度しないと『時間』大丈夫なの?」
父「行ってきます」
(いつの間に?!)
時計を見ると既に家を出る時間だった。
優佳「やばっ!!」
食べかけのパンを口に入れ牛乳で流し込む。
優佳「行ってきまーす!」
母「気をつけてねー」
家を出て暫く歩いているとあの事故現場が見えた。
歩道の隅には花や飲み物がお供えされていた。
(3人も亡くなるなんて…残った子供が気がかりだ)
気付くと学校の校門前だった。
生徒「ニュース見た?」
生徒「見た見た!」
通り過ぎる人達の口からは皆交通事故の話題だけ。
案の定教室内も交通事故の話題で持ちきりだった。
翔子「優佳!ニュース見た??」
翔子は中学の時からの友達で同じ部活に所属している。
優佳「見たよ、通学路だから朝から通って来たよ」
先生「はーい、席着いてー」
話していると、先生が入ってきてHRを始める。
粗方出席をとると、例の交通事故について話し始めた。
先生「皆も知っていると思いますが昨日近くで交通事故が起きました。とても痛ましい事故です。皆さんも車には気を付けて下さいね」
話し終えると早々にHRを終わらせ教室を出て行ってしまった。
不思議に思っていると、翔子がやって来てコソッと教えてくれた。
翔子「実はね、事故に遭った子うちの学校の子なんだって」
優佳「えっっ?!」
驚きのあまり、思わず口から出てしまった。
声のボリュームがデカすぎたせいで周囲がこちらを見ている。私は慌てて口に手を当て愛想笑いで誤魔化す。
(驚いた、まさかうちの学校の生徒だったなんて。
だから先生は聞かれることを想定してそそくさと退出して行ったのか)
優佳「その生徒って誰なの?」
翔子「それが分からないのよね…私はパパから聞いただけで名前までは知らないの」
(翔子のお父さんは警察官だから事故現場にも行ってるのかも。仕方ない先生に聞いてみるか)
放課後、職員室へ行き先生を探すが見当たらず他の先生に聞いてみるとどうやら帰っては無いそうだ。
仕方なく校内を歩いていると、2階の窓から校舎裏に向かっている先生の姿を発見した。
足早に校舎裏へと向かった。
優佳「先生、何してるんですかーこんな所で」
先生「うお?!びっくりしたー四宮かよ」
先生の右手には火のついた煙草があった。
優佳「煙草を吸うためにここへ?」
先生「仕方ないだろーここなら普段誰も来ないし見つからないと思ってな」
確かに、校舎裏は日中日陰の影響でじめっとして誰も近ずかない。
来るとしたらサボりか目の前にいる煙草を吸いに来た教師くらいだ。
先生「あ、ここで煙草吸ってた事周りに言わないでね」
優佳「そんな事より交通事故にあった生徒って誰ですか」
先生「そんな事って…というよりそれは教えられないから」
優佳「じゃあソレ言っちゃおうかな〜??」
先生は携帯灰皿に煙草を押し当てながらため息を吐いた。
先生「わかったよ、その代わり絶対言うなよ」
優佳「はーい」
話を聞くに、事故に遭った生徒は明日私のクラスに転入する予定だったらしい。
(だから皆知らなかったのか)
グラウンドのスピーカーから5時のチャイムが鳴り響く。
(あ、もうこんな時間!帰らないと)
優佳「ありがとうございます先生。それじゃ!」
先生「絶対に誰にも言うなよー絶対だからなー」
お礼も早々に私は教室に置いてきた荷物を取り家に帰った。