テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「えっ? 今、なんて言いました?」
洒落たカフェで女性と向かい合っていた男性が、驚いたように聞き返した。
「ですから、お会いするのはこれで最後にしようかと……」
女性は申し訳なさそうにしつつも、男性の目をしっかり見て言った。
男性は、その言葉が聞き間違いではないと悟る。
「ちょ、ちょっと待って! 僕たち、これまで四回会いましたよね? いつもいい雰囲気だったし、だからOKしてもらえると思って交際を申し込んだのに……」
動揺する男性に、女性は少し戸惑いながら答えた。
「もちろん、私も真剣に考えました。でも、やっぱり北川さんとは、このまま『良いお友達』でいたほうがいいと思ったんです」
シルバーフレームの眼鏡をかけた男性は少し考え込んだあと、動揺を隠しながら口を開いた。
「そうですか……分かりました。でも、本当にそれでいいんですか?」
「え?」
「凛さん、もう30ですよね? 年齢的にもぎりぎりだし、僕を逃すともういい出会いはないのでは?」
その言葉に、女性はカチンとした表情を浮かべた。
女性は二階堂凛(にかいどう りん/30歳)。
凛は都内の大手不動産会社に勤める独身女性だ。スラリとしたスタイルの美人で、大きな瞳とゆるくウェーブのかかったライトブラウンの髪が魅力的だった。
彼女の向かいに座るのは北川幹夫(きたがわ みきお/38歳)。メガバンクに勤めるエリート銀行マンだ。
北川もかなりのイケメンで、スマートで知的な雰囲気が漂っている。
二人は大手結婚紹介所が運営するマッチングアプリで知り合い、今日は四回目のデートだった。
北川はこの日、凛に正式に交際を申し込んだが、はっきりと断られてしまった。
爽やかな見た目でエリート風の彼は、これまでそこそこモテてきた。だから、まさか凛に振られるとは思っておらず、プライドが傷ついた北川は、つい嫌味を口にしてしまったのだ。
その言葉を受け、凛は姿勢を正してこう言った。
「今の時代、恋愛や結婚に、年齢って関係あります?」
海外赴任の経験もある北川は、思わず唇を噛んだ。自分の発言が今の時代にはそぐわなかったことを後悔しているようだった。
何も言い返せない北川に、凛はさらに続けた。
「はっきり言いますね。私は北川さんに、男性としての魅力を感じません。だから、二人の間にこれ以上の進展はないと思うので、このままずるずるお会いしていても、意味はないかと……」
凛のきっぱりした言葉に、北川は一瞬ひるんだが、すぐに言い返した。
「ずいぶんはっきり言うんですね。僕はこれでも、けっこうモテる方なんですよ? 勤務先も申し分ないし、将来性もある。君の代わりになりたいと思う女性はいっぱいいると思いますが?」
「だったら、すぐに次へ行ってください。時間を無駄にさせても申し訳ないので……」
そう言って、凛はカップに残ったコーヒーを飲み干した。
「では、私はこれで。今までありがとうございました。どうかお元気で!」
凛は財布から取り出したお札をオーダー票に挟み、椅子から立ち上がった。そして北川に軽く会釈をし、颯爽と出口へ向かった。
残された北川は、悔しそうな表情を浮かべながら、去っていく彼女の後ろ姿を睨んでいた。
そんな二人の様子を、二つ隣の席にいた男がさりげなく眺めていた。
凛の姿が見えなくなると、男はニヤリと笑い、顎を撫でながら手元のノートパソコンへ視線を移した。
コメント
82件

去年の暮れに色々とありましてようやく気分転換が出来て、遅くなりましたが読みに来ました💦 マリコさん、コメ隊の皆さま今年もよろしくお願いします🙇♀️
超出遅れ😫😫 今年も楽しく拝見させて頂きます♡ 新作早速よんでいますが😂 イケオジ楽しみ❤️マリコ先生、コメ隊ことマリコ親衛隊のみなさま本年もよろしくお願いします♡

明けましておめでとうございます(*´∀`*)今気が付きました!出遅れた😭😭😭今年も楽しみにしています✨