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「初夏の最初の休日を、クルージングで楽しみましょう」
松吉のその誘いに、山田旅館に宿泊している十名の観光客は大喜びだった
「ジンさんもどうかね?」
「え!本当ですか!」
「クルーザーなんて、初めて乗ります!」
「わぁ、楽しみだ!」
男性客達の歓声が旅館のロビーに響く、お盆真っ最中な晴れ渡る日、山田旅館からすぐ傍の淡路島のマリーナは混雑していて、
古びた灰色の桟橋が大勢の人の歩く重さに軋んでいる
観光シーズンの最高潮を告げるように、あちこちで船のエンジン音が響いていた、そして湾には、松吉の船が優雅に浮かんでいた
「うわぁ・・・すごいですね」
ジンは松吉のクルーザーをひと目見て、目を丸くして呟いた、義父がクルーザーを持っていると聞かされた時の想像の三倍は大きな船だった
ワハハ
「大人の男のおもちゃじゃ!」
白く輝く二階建ての船体は、まるでショールームに展示されていてもおかしくないほど洒落ていた
あたりには水と藻の匂いが混ざり合い、船のディーゼルの匂いと油、日焼け止め、ココナッツオイルの甘い匂いが漂っていた、松吉は白いポロシャツに麦わら帽子を被り、サングラスをかけて、いかにも船乗りといった風情だった
「さぁさぁ、皆さん乗り込んでくださいな!今日は淡路の海の幸を釣り上げますぞ!」
男性観光客10人とその横でジンも、オレンジのスイムショートパンツに白のTシャツ、レイバンのサングラスという出で立ちで、観光客を笑顔で迎えていた
底が白いデッキシューズを履き、すっかり海に慣れた様子だ
「ジンさん!一緒に写真撮ってください!」
「あ、こっちも!」
「ハイハイ!いきますよー」
「今日は大物を釣り上げるぞ!」
「おはよう!待ってたぞ!」
マリーナに入ると、赤のライフジャケットを着た松吉の甥っ子で長年船を管理している誠一郎が、ジンと観光客を温かく迎えてくれた
昨日の荒波祭りで共に神輿を担いだ仲間だ
コメント
1件
ひとりぼっちだったジンさん淡路で素敵な家族も仲間もできたね😭👍 カッコよくて人柄も極上な婿殿登場で山田旅館さらに繁盛しちゃうね🤭あ…偽装だった🙂↕️