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こんにちは、けるもです。
本編どーぞ!!
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それから1週間が経った。 俺は今日、透星を呼んだ。
まだ、答えを言っていなかったからだ。
答えはもう決まっていた。
ただ、言えずにいたのである。
断るつもりだ。親父には何を言っても無駄だろう。
透星には悪いが、俺には出来ない。
やりたい。でも出来ないのだ。
俺は夢を見てはいけない。
親父達がいるから。
どんなに足掻いても、夢でしかない。
分かっている。
いい加減、自分の置かれた状況を見ろ、と、目を逸らすな、と言われている気がする。
俺は自分に言い聞かせた。
俺には無理なんだ、と。
ただ。
ただ、もし俺が普通の家に産まれていたなら。
透星と同じ、親は子を守り、子は親に報いることの出来る家庭で育ったなら。
今いる自分は、少し違ったのかなどと、考えてしまう。
今いる世界は真っ暗で、隅で輝いている世界は空想でしか、ない。
「よぉ、陽朔音。」
後ろから声がかけられる。見なくてもわかる。
透星だ。
「話って?」
正直、こいつももう分かっているのだろう。
なんの話しをするのか。
どう返事が来るのか。
「…バンドの話。」
そう、答える。
「あー、うん。何?」
「俺さ、無理だわ。 」
俺はいかにも自分の本心です、と言うように軽く言う。
途端に静まり返る。
こうなることは、分かっていた。
だから俺は言うのに時間がかかったんだ。
これでもう俺は用無しだ。
誰からも。
next…