こんにちは、けるもです。
陽朔音過去編。
本編どーぞ。
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『おい、お前、テストどうだったんだ。』
『今日から私が。』
『陽朔音、お前にかかってるんだ。』
『陽朔音。』
『陽朔音。』
『陽朔音。』
『お前は俺の跡継ぎとして、生まれてきたんだ。』
俺は会社の社長の子として、生まれてきた。
親父が社長を務める青桐グループは大手IT企業だ。
親父には金がわんさかある。
俺は親の経営する会社に就くことになった。
ここまで聞くと、まぁ、よく聞こえるのだろうが、俺が断固として就きたくない理由。
親父が嫌いだからだ。
酒癖が悪い。酒が入るとすぐ怒る。
怒ると俺や母さんをすぐ殴る。
そのせいもあり、俺が小さい頃、母さんは俺に謝り家を出ていった。
女癖も悪い。母さんが出ていったもうひとつの理由。
親父の浮気だ。
母さんが出ていったにも関わらず、親父は浮気相手の女を家に連れてきた。
そして、俺の前でこう言った。
「この人が今日からお前の“母さん”だ。」
それから毎日、家にその女を住まわせた。
親父の金目当てだと知らずに。
いや、知っていたのかもしれないが。
だとしたら親父は救いようのない馬鹿でしかない。
その女が来てからは最悪だった。
まるで親父が2人に増えたようだった。
朝から夜までどこかに行っていて、帰ってくるなり俺に怒声を浴びせるかベッドに直行するかの2択。
帰ってこなかった日は数え切れない。
親父も厳しかったが、あの女も相当だった。
怒る時は猿みたいなキーキーした声で何語かも分からない程の早口で叫び、俺を殴る蹴るの暴力。
小さいころから親父に殴られていた俺は、少しの変化はあったものの「あ、いつも通りだな。」と少し感覚麻痺状態でそんなことを考えていた。
あの女は、エスカレートすると家政婦にも暴力を奮っていたから、毎日の如く家の中にいる人間は変わっていった。
自分が殴られるのはともかく、流石に他の人は可哀想だ、と俺は殴られない努力もしてみた。
結局変わらなかったのだが。
そんなこんなで俺には痛覚や何やらは全部無くなった。
学校が唯一の逃げ場だった。
「よぉ、陽朔音。」
そうかけられる声に俺は内心毎日喜びながら言うのだった。
「ん。」
next…
コメント
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学校が逃げ場ってめっちゃえーやん!!! かいちゃん書き方うますぎて好き 大好き(?)