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りるら
196
耀聖(ようせい)
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───教室に入ってくる転入生の姿を見た瞬間、なぜか目が逸らせなかった。
逸らしたくない、というのが正しいだろう。
何もかも、あの頃の自分と酷似していた。
今朝の校門の時とは違うが、心臓が暴れていた。周囲にも聞こえるのではないかというくらい鼓動がはっきりと聞こえる。
「…………榊原朔、です……」
俯き、床の一点だけを見つめている。
床に向かって喋っているようにしか見えない。
気が付くと机に突っ伏していた顔を上げ、転入生もとい朔を凝視していた。
全てが、あの頃の自分と重なった。
小学3年生の頃、沖縄から東京に引っ越してきた自分。
知り合いなんて誰もいなくて、怖くて下を向いていることしかできなかった。
数日経ってもなかなか馴染めず、ほとんど1人で過ごしていた。
国内とはいえはるか遠くの島から越してきた転入生だなんて、面倒だと皆幼いながらに思っていたのだろう。
小学生といえば誰彼構わず話しかけてくれる、というイメージが一瞬で打ち砕かれた。
心細くて仕方なかった。
沖縄の友達が恋しくなり泣くことなんて日常茶飯事だった。
もうあんな思いはしたくないと心に決めていた。
中学校に入学してからは、同じ小学校の人はたくさんいるものの少しずつ友達もでき始めた。
馴染めたかな、などと呑気に思っていた。
その矢先に現れたのが朔だった。
中学生だ、皆大人への階段を1段1段慎重に登っている時期。
いつものグループでハブられないように気を張り、くだらないことで大笑いするフリをする。
皆転入生を気にかける余裕なんてなく、自分のことで手一杯だ。
休み時間、案の定と言うべきか朔に話しかける人は誰もいなかった。
頭の片隅で「ああ、年齢が変わっても考え方って変わらないもんなんだな」なんてぼんやり考えていると、座っている朔がそわそわしているのが視界の端に映った。
あ、と思った。
コメント
1件
うわ、もう2話でこの胸の掴まれ方は反則だわ…。転入生の朔くん、主人公が自分の過去と重ねて見てるのが伝わってきて、あの「あ、と思った」で終わるラスト、完全に心掴まれた。この後どう動くのかめっちゃ気になる。続き待ってます!