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「……え?」
美花が目を見開かせた後、眉尻を下げながら困惑した笑みを漏らす。
「あ、いや…………ちょうど昼メシの時間だし……君もお昼がまだなら、一緒にどうかなって……思ったんだけど……」
圭からランチに誘われた彼女は、思いもよらなかったようで、表情が固まっている。
「予定があるんだったら、今の話は…………聞かなかった事にしてくれていい」
美花が呆然としながら、唇を微かに震わせている。
「……この後の予定は…………ないよ。家に帰るだけだし……」
「じゃあ…………メシでも食いに……行かないか?」
「…………うんっ」
目を細め、唇を綻ばせた美花の表情に、圭がホッと胸を撫で下ろす。
ようやく会計を済ませた圭と美花は、病院を後にした。
「さて、どこで食おうか。駅前だと、かなり混雑してると思うんだが……」
「だったら私、病院の近くにある国営公園に行ってみたいなぁ。公園の中にも、カフェとかレストランとか、あるみたいだし……」
美花が、公園のある方に眼差しを送っている。
「了解。さっそく行くか」
二人は、国営公園の立川ゲートから園内に入っていき、のんびりと歩きながら、カフェやレストランを探す。
駅周辺から少し離れた場所に、広大で緑豊かな公園があるのは圭も知っていたが、訪れたのは初めて。
穏やかな風を感じつつ、二人は適度な距離を保ちながら、公園内を散策していた。
さらに奥へ進んでいくと、木材が格子状に組み込まれている外観のカフェが見えてきた。
「あっ! 雰囲気良さそうなカフェ!」
「ここでメシにするか?」
「うん。お料理も美味しそうだし、パンのいい香りがするしっ」
木の温もりに癒されそうなカフェが気に入ったのか、美花が美味しそうな香りに誘われるように、小走りで入り口へ向かっていく。
華奢な背中を見やりながら、圭はフッと笑みを零すと、彼女を追い掛けた。
保谷東