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週末、久しぶりに、洋平の実家へ行くことに…
「ご無沙汰してました。」
「いらっしゃい、ここちゃん久しぶりね〜」
「いらっしゃい!」
お正月も喪中だったこともあり、ご挨拶に来て、 短時間で帰ってしまった。
「美優さん、体調は大丈夫?」
「はい、大丈夫です。」
「予定日は、いつだっけ?」
「8月1日です。」
「あと5ヶ月ね、楽しみね」
「はい。あ、洋平…」
「あーもうどっちか分かったんだ。」
「えーそうなの?」
「そうなのか?どっちだ?」
「男の子!」
「あらー良かったわね〜」
「おー楽しみだなぁー」
「へーそうなんだ!」と、奥から航平くんが…
「あ、航平くん、この前はありがとうね。」
「あーいえ…」
「サッカーさせられるじゃん、良かったね」
「うん」
「で、お前は?この前、匂わせてたけど…」
「何?航平?」とお義母さん
「そろそろ身を固めようかと思ったけど、やっぱりやめた!」
「は?なんだそれ?まだ何も始まってないのに?」
「始める前で良かったよ。《《アイツ》》だけを思い続ける自信がなくなったから…」
「何を言ってるの?お相手は?プロポーズしたの?」
「だから、やめとく!」
「いい加減なことばかりしてると、恨まれるわよ。」
「もう恨まれてるだろうな…でも、無理なんだから仕方ないよな〜」
『なんだろう、この感じ…何かを言われたわけでもないし、されたわけでもないのに…気が重い。 また、なっちゃんに相談しないと…』
「じゃあ、俺は出かけて来ます。ごゆっくり〜
ココ、またな〜バイバイ〜」
「バイバイ」と手を振る ここちゃん
「美優?大丈夫?」
「あ、うん。」
「ゆっくりしてね。」
「はい、ありがとうございます。」
余計なこと、考えないようにしなきゃ
楽しいことだけ考えよ。
「あ、洋平、高校の時の卒アル見せて!」
「おーそうだな。ちょっと、ここちゃん見てて!」
と、お義父さんとお義母さんにお願いして、
洋平の部屋だった場所へ2人で向かった。
「たしか、この辺りに…」
高校の時の卒業アルバムを探す洋平
「あ、あった!」
「見せて〜洋平、何組?」
「3年の時は…あー2組だった。あーこれだ!」
「どれ?」
「これ」
「あ〜やっぱり、イケメンだね」
「そう?」
「うん、サッカー部って感じだわ。」
いろんなクラスの写真を見る
誰がイケメンで、誰が可愛い〜とか、誰と仲よかったとか…
「この子可愛いね〜」と言ったら急に黙った。
「…」
「ん?もしかして、この子かな?少しだけ付き合って別れたのは…」
「ふふ」笑ってる
「ふ〜ん、そうなんだ、可愛いね。なるほど〜」
「何?なるほど〜って…」
「確かに巨乳じゃないね…ふふ」
「オイオイ」
部活の写真を見る
「あ、ホントだ!キャプテンマーク巻いてる。へー!カッコイイね〜そりゃあ、モテるわね。」
「そんなことないよ」
ジーっと見て、「ふ〜ん」と疑いの眼差し…
「そうだね!モテてたね。」
「ふふ、やっぱりね。イイじゃん。良かったね。」
パラ〜ッと1枚、写真が落ちた。
「え?」
「何?」
「あー!イヤ…」
「見せてよ。それこそ、彼女とのツーショット?」
サッと、洋平から奪って見る美優
そこには、本当にツーショットで写る洋平の姿が…
「あれ?さっきの女の子とは、違うよね?
あー!これが1つ年上の支えてくれた人だ!
ふ〜ん。なんでわざわざ1枚だけ、違う学年なのに…しかも、大事に挟んでるんだろう?
あ、だから、これだけ実家に置いてたんだ。」
「いや、忘れてた…まさか、まだ残ってるなんて…」
「ふ〜ん…」
元の場所に挟んで、アルバムを閉じる美優。
「美優!」
「大事な思い出なんでしょう?」
「イヤ…」
「大事だから、捨てられないから置いてあったんだよ。だから、そのままでイイよ。」
「ごめん…気を悪くしたよな…」
「たぶん、もうない!って言ったくせに…
あるじゃん!しかも、違う学年なのに、大事に… 消せないんなら、いいよ。もう、そのままで…」
アルバムを持ったまま離さない美優。
「貸して!」
「捨てるの?」
「うん」
「なんで?」
「もう要らないから…」
「私の機嫌が悪いから?」
「それもあるけど…もう、ホントに要らないから…」
「今まで置いてたんなら、もうイイじゃん、このまま置いておけば…」
首を横に振る
「もう、必要ない!」
「私が言ったから、とかイヤだもん。」
「違う!俺の意志で捨てる。貸して!」
怖い顔で言うから、アルバムを離した美優
その1枚の写真を手に取り、
シュレッターにかけた洋平
なんだか、美優は切なかった。
「捨てられないなら、置いておけば良かったのに…」
涙目の美優
「もう要らないから…」と、美優を抱きしめた。
「長い人生で、たった1年だけの思い出。美優とは、もう一生の思い出がどんどん増えて行ってるから…」
「私は、洋平より年上にはなれない。ずっと4歳下だから…年上の人とのことは、分からない。」
「年齢なんて関係ないよ。俺が美優を選んだ。ずっと一緒に居たいから…今は家族3人で!これからは、4人で!だから、過去の写真は、もう要らないの。」
そして、キスが落ちて来た。
「ごめんな、イヤな思いさせて…」
首を横に振る美優
「ごめんね、イヤな言い方して…」
「ううん、『もうないと思う!』って言ったのに、 結局まだ置いてたのは、俺が悪いから…」
「ヤキモチ焼くって言ったのに…」
「そうだよな、ごめんな。でも、嬉しいよ。」
「バカ…でも…優しそうな人だったなぁ〜頼ってたんだろうなって思った。」
「まあ、付き合ってたのが、サッカーで、なかなかレギュラーが安定しなくて、苦しい時だったからな。」
「ふ〜ん、そうなんだ。どうして、別れたの?」
「俺が子どもだったんだろうな。レギュラーになって、モテ出して、調子に乗ってたのかなあ?」
「あーだから、そこからは…」
「ん?」
「あ、やめとく…」
「なんだよ、気になる!言ってよ。」
「調子に乗って、遊び出した!」
「う〜ん、痛い所を付くなあ〜否めない。若気の至りだよ…」
「ふ〜ん…」
「もう昔の話だからな…」
「そうだね。そういう洋平を経て、今がある。
もし、そのまま別れずに一途だったら、きっと素敵な人になってただろうな、あの人。会ったこともないけど、女の私から見ても、甘えたくなるような優しい人に見えたもの…だから、ヤキモチ焼いた…」
「そうなんだ。まあ、もう会うこともないと思うけど…」
「そんなの分からないよ。コンパで知り合った人にも会ったじゃない!会社の人にもね…洋平の過去の人、もう2人にも会ったよ、私…」
「そうだな…ごめん。」
「偶然だし、別に謝らなくてもいいけど…会った2人より、ちょっとショック…」
「そうなの?」
「うん、悪いけど会った2人の人は、《《胸だけ》》の人だと思ったから…」
「ぷっ…」
「でも、写真の人は、違ったから…清楚で優しそうで…かなりの強敵だと思った。だから…イヤだったの。」
「そっか…ごめんな。」
「ううん、もう過去のことだよね?」
「もちろん!」
「なら…仕方ない。私は、私のままだから…どうしようもないから」
「美優は、最高だよ。」
「ありがとう、だから結婚したんだよね?」
「そうだよ。二度と離さないから…」
「うん。」
美優から、ぎゅーっと洋平を抱きしめた。
「今の洋平が好き」
「うん。俺は、どの美優もずっと好き」
「ふふ、ありがとう。
そろそろ戻らないと、お義父さんとお義母さんが心配するよ。」
「そうだな…」
そう言いながら、もう一度、キスをする洋平
そして、何もなかったかのように、心美の元へ戻った。
美優の中では、本当は、まだモヤモヤしていることがあった。
大学生の頃の卒業アルバムも見せてもらっていない。
でも、まだ洋平の恋愛は、色々あったわけで…
気にはなっていたが、これ以上、知りたくない! ダメージを受けたくない!という思いの方が強かった。
今の洋平が好き
だから、もう過去のことは、自分からは知りたい! とは、思わない。言いたくない。
今は、私の夫だから…
幸せだから…
「美優さん、どうだった?」と義母に聞かれた。
「高校生の時の洋平もカッコ良かったです。モテてたのが分かります。」
「そう?あの頃は、サッカーで必死だったと思ったのに、ちゃっかり彼女も居たのよね。」
火に油を注ぐ母
「母さん!」
と、父と洋平、両方から突っ込まれる
「ふふ、あら、ごめんなさいね、もう時効よね?」
「そうですね、過去のことですから…」
顔が引き攣る…
チラッと洋平を見た
申し訳なさそうな顔をしてる洋平に、ニコッと笑いかけた。洋平も引き攣りながら、ニコッと笑った。
過去のこと…
だけど、過去に出来ていないのは、私の方だよなぁ〜
と、思っていた美優
ここちゃんを見る
もう、私には、この子達が居る。
お腹を撫でる。
そして、愛する夫がいる。
気にするな美優!
夕飯をご馳走になり、帰路につく。
帰りの車でも、美優は明るく振る舞おうと
色々話をするが、なんとなく心から笑えていない。
洋平は、感じ取っていた。
黙って美優の手を取り、繋いだ。
「ありがとう。疲れただろう?寝てていいよ。」
「眠くならない?」
「うん、大丈夫!着いたら、起こすから寝てて」
「ありがとう。」
心もカラダも少し休めよう。
妊娠中だということもあり、眠くて仕方なかった。 ぐっすり眠って、起きた時には、自宅マンションの駐車場だった。
「あ、ごめんね、ずっと寝てた。」
「ううん、大丈夫か?」
「うん、大丈夫、ありがとう。運転お疲れ様。
洋平こそ大丈夫?」
「うん、全然大丈夫だよ。」
美優を支えて車から降ろす、
眠ってる ここちゃんを抱っこして、荷物を持って降りる洋平。
『優しいパパだよなぁ〜』
改めて思う美優
「洋平!」
「ん?」
「大好きだよ〜」
「え?何、どうしたの?」
「ううん、言いたくなっただけ」
「美優〜あーここちゃん抱っこしてるから、抱きしめられないよ〜」
「ふふ、あとでね〜」
「うん、ホントに?絶対だよ!美優、あとでね。」
喧嘩しても、すぐに仲直り
今、目の前にある幸せだけを信じよう〜
「美優、好きだよ!大好きだよ!」
「ふふ、シー!恥ずかしいから…」
そう言って、エレベーターへ
洋平は、心美を抱っこしたまま、美優を見つめる
美優は、手招きする
「ん?」少し屈んで近づく洋平に…
美優は、洋平にキスをした
「美優〜♡あ〜ん…」両手が塞がっている
「ふふ」
「やっぱり、美優はドSだよな、こんな状態の時に…もう!分かってて〜」
「ふふふふ、洋平可愛い〜」
「美優〜続きは、あとでね。絶対だよ…」
玄関の鍵を開ける美優
洋平は、急いで入って、心美をそのままベッドへ 寝かせる。
そーっと、腕を抜いて…
「美優〜!」と、リビングに居る美優の元へ急いだ。
「ふふ、ダメだよ、手を洗わないと…」
「キスしたくせに…」と、抱きしめて離さない
「美優〜」
優しくキスをする
「もう、気にしてないからね」
「うん」
もう一度、キス
「もしまた、違う元カノが目の前に現れたら…
私どうなっちゃうんだろう?笑える自信はないなぁ〜でも、今は、目の前に居る洋平だけを愛してるから…」
「美優ありがとう〜俺も愛してる。ずっとずっと…」
ぎゅーっと抱きしめる
「赤ちゃん!」
「あ、ごめんな、頼りないパパで…」とお腹を摩る。
「頼りなくなんかないよ。一生懸命だし、私は、いっぱい頼ってるよ。」
「美優〜」
「ずっと優しいパパで居てね。カッコイイ旦那様で居てね。」
「美優…」言葉にならないぐらい嬉しくて…
泣きそうになった。
黙って、抱きしめる。