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父が帰ってきてから数日後――
拓也とこはるは、母のいない静かな朝を迎えていた。
長く居ては迷惑だと、兄が言い出し新しく住む家を探すことにした。
「お父ちゃん、あの家、見つけたで」
拓也が小さな笑みを浮かべながら言った。
「うん……やっと、見つけたんだな」
その家は、戦争で焼け残った数少ない木造の平屋だった。
父はまだ足を引きずりながらも、家の掃除を始めた。
「ここなら……落ち着ける」
こはるは小さな声で言いながら、家の隅に置かれたおばあちゃんの古い櫛を手に取った。
「ここで、また家族みんなで暮らせるんだね」
拓也はそんなこはるの肩をそっと叩いた。
「これからは、もう絶対離れん。みんなでがんばろう」
戦争が終わり、過酷な日々は続くけれど、家族は確かな希望を胸に抱いていた。
小さな家の中で、少しずつ新しい暮らしが始