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甲斐田「……」
授業中
カリカリとシャープペンシルを動かす
そして長尾の言った言葉を思い返す
『俺達と俺達の彼女と”お前”と彼女の”友達”』
甲斐田「ッ…………」
おかしいだろッ!!!
いや今更だよね?今更だね、分かってるよ?
お か し い ! !
甲斐田「はー……」
友達「どした?」
甲斐田「あー…いや、ちょっとね……」
友達「彼女?」
甲斐田「いねぇわ、ふざけんなよ」
先生にバレない様に友達とコソコソ話をする。 夏休みまであと1週間
先生も教室が浮かれているのは分かっているだろう
甲斐田「彼女、ねー…」
いやいやそんな事よりだ
本当に長尾は何を言っている?!
バカだろ?!バカだな!!バカだったわ!!
僕は陰キャなの!!!!!!!!!
相手の気まずさも考えろよーーーーーー……!!!!!
甲斐田「……てか腹減ったな」
もう4時間目の終盤
きっと全員の頭にはお昼ご飯の事が浮かんでいるだろう
キーンコーンカーンコーン…
授業終了のチャイムが鳴る
それと同時に一気に教室がざわめく
ささっとスマホと財布を取り出して購買に向かう
コツコツコツ…
甲斐田「何食おっかな〜…」
なんて事を考えていると目の端に見た事ある色が映る
少しピンクがかった金色の髪の毛が揺らめく
星川「あっ、甲斐田ぁ〜!」
甲斐田「星川さん、」
駆け足で階段を降りて
彼女の横に並ぶ
甲斐田「今日よく会いますね」
星川「確かに笑、購買行くとこ?」
甲斐田「そうです」
星川「んじゃせっかくだし一緒に食べん?」
甲斐田「…」
やっぱり今日の彼女は少し変かもしれない
いつもなら、ここで挨拶を交わしてすぐに別れるのに
甲斐田「いつもの友達はどうしたんすか?」
星川「んー…別の子と食べるってさ、一緒に食べる人いないんだよぉ〜……」
甲斐田「しゃーなしですよ?しゃーなし」
星川「ありがとうだが殴るぞ?」
そんな会話をしながら購買に向かう
何買う?あれ売り切れてる…なんてくだらない会話をしながら
会計を済ます
甲斐田「どこで食べます?」
星川「星川穴場知ってるんだよね〜」
そう言って前を見て歩き出す
ついていって見えたのは旧校舎
甲斐田「えっ…もう使われてないんじゃ……?」
星川「コッソリ入れる所あったんだよ〜」
怒られるんじゃない?と思ったが
進む手慣れさにずっと見つかってないんだろうし
甲斐田「……笑」
青春してるみたいで
ちょっと、いや…
かなり楽しい
星川「よっと…!ここ!」
甲斐田「わぁ〜……!」
連れてきてもらったのは旧校舎の中庭
もう手入れもされてない筈なのに花壇の花は咲き乱れ
夏だと言うのに涼しい
中心には、ポツンとベンチが佇んでいた
星川「ここ凄いでしょ?水やりは星川がしてるんだけどね」
星川「涼しいし、綺麗だし…それに、あそこ」
星川さんが指を刺す先には
普段僕達がいる、新校舎が映っていた
ここからは新校舎を見下ろせる様な形になっていて、なんの変哲もないその景色が
一層綺麗に見えた
甲斐田「よくこんな所見つけましたね……」
星川「えへへっ!でしょ〜?」
2人でベンチに座りパンの袋を開ける
なんの尖もないフワフワとした雑談を交わしていると
ふと、星川さんが口を開く
星川「そういや幼馴染に彼氏出来たんだよね」
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