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「さて、ここからがメインディッシュだからね? 美花」
厚めの前髪から覗く、漆黒の瞳を爛々と輝かせている奏に、美花は射抜かれる。
リビングのソファーセットで、チョコレートタルトと紅茶を楽しみながら、三人でおしゃべりに花を咲かせていた。
「ねぇ、美花。率直に聞く。怜さんのお兄さんの事、好きでしょ」
奏の鋭い眼差しに、美花は肩を小さく震わせながら、たじろいでしまった。
(やっぱ、かなチーにはバレているよねぇ……)
まつ毛を伏せながら、彼女は、親友の隣に腰を下ろしている怜を、チラリと見やった。
双子の弟は、腕を組みながら、若干険しめの面差しを美花に向けている。
この二人には、正直に打ち明けてもいいのだろうか、言わない方がいいのだろうか、美花の中で、相対する気持ちがせめぎ合い、奏の問い掛けに答えるのが、ちょっと怖い。
美花は無言のまま辿々しく頷き、親友を上目遣いで、おずおずと様子を伺った。
「…………そっか。美花の気持ちを知れて、少し安心したよ」
「…………え?」
意外な言葉に、美花は勢い良く顔を上げ、漆黒の瞳にかち合わせた。
「美花も心に傷を抱えているのは、私も知っているし、美花は過去の辛い恋の思い出から、一歩踏み出そうとしている。私は…………美花の恋を応援するから!」
穏和な奏の言葉に、美花はフニャリと表情を緩めたものの、怜は引き締まった顔立ちを崩さず、腕を組んだまま、微動だにしない。
「…………まぁアレだ。好きって気持ちは…………止めろって言われても、なかなか止められないよな……」
怜が不意に表情を緩め、フッと小さく笑いを零す。
「俺も奏に出会ってから、すげぇ幸せを感じまくってるけど、アイツも、気持ちがまっすぐな美花ちゃんに想われて、幸せじゃん? アイツの気持ちの中は、俺はさっぱり分かんねぇけどさ……」
怜の言葉に、美花は、弟さんは何か思う事があるのだろうか、と考えてしまう。
母の店で、葉山兄弟が鉢合わせした時、どこか険悪な情調を感じ取った美花。
きっと二人の間に、例えようのない、大きな感情の渦があるのだろう。
「そもそもだけどさ、美花ちゃんと圭って、どうやって知り合ったの?」
「あ! 私もそれ聞きたいっ!」
目力の強い二人の瞳に囲まれた美花は、思わず顔を引きつらせながら苦笑を浮かべた。