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38 - 37話 本 体 よ り も つ よ い

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2026年02月18日

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37話 本 体 よ り も つ よ い




日差しが強い




ふっくらは

丸い体を地面に置き

短い脚でぼんやり立っていた




腹がふよんと前に出て

足元には

いつもの丸い影








ふっくら

「……今日の依頼……

影……踏むだけ……?」




少し離れたところに

琶が立っている




大きな体

長い首

重なった鱗




畳まれた翼が

地面に濃い影を落とし

ふっくらの影を半分飲み込んでいる








「内容は簡単だ」




ふっくら

「簡単すぎない!?

これ……

依頼って言っていいの!?」




「言っている」








ふっくらは

自分の影を踏もうとして

一歩動く




影も一緒に動く








ふっくら

「……逃げるんだけど……

影って……

ずるくない……?」




「影は

正直だ」








次の瞬間

琶が一歩前に出る




大きな影が

ふっくらの影を

完全に覆う








ふっくら

「えっ

ちょっ

もう踏んでる!?」




「踏んだ」








ふっくら

「早っ!!

開始三秒!!

読者、見た!?

わたし何もしてない!!!」








空気が

一瞬だけ

重くなる




日差しが

わずかに歪む








ふっくら

「……ねぇ……

今……

なんか……

変じゃなかった……?」




「気のせいだ」

(目は笑っていない)








琶は

そのまま

報告書を取り出す




爪で

ゆっくり

文字を書く








【対象:ふっくらの影】

【結果:踏了】

【評価:本 体 よ り も つ よ い】








ふっくら

「ちょっと待って!?

文字、伸びてる!!

なんで“よ”がそんなに長いの!?

怖いんだけど!!!」




「正確に書いた」








ふっくら

「正確って何!?

影の強さに

長さとかあるの!?!」








ふっくらは

自分の影を見る




丸い影

さっきより

少しだけ

薄い気がする








ふっくら

「……あれ……

わたし……

弱くなってない……?」




「……比較対象が

悪かっただけだ」








ふっくら

「慰めになってない!!

読者も今

変な沈黙してるよ!!」








琶は

影から足を離す




空気が戻り

日差しも

いつも通りになる








「依頼、完了だ」




ふっくら

「……これ……

誰が読むの……?」




「……世界だ」








ふっくら

「その言い方やめて!!

急にダーク!!

ゆる回だったよね!?」








琶は

読者のほうを見た気配を残し

静かに言う




「……影は

嘘をつかない」








ふっくらは

足元を見て

首をかしげる




丸い影は

何事もなかったように

そこにあったが




報告書の文字だけが

なぜか

元に戻らなかった

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