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(渡辺視点)
こいつが丸山か。
倉庫の中に入ってみたら、すんごい真っ暗で埃っぽい。
こんな場所にいたら病気になりそうだな。
そんなことを頭の片隅で思いながら、俺は真っ直ぐに丸山を見つめる。
すんげー間抜け面。
まさか俺らが来るなんて思ってなかったって言うのが丸わかりじゃねぇか。
深澤は、こんな奴に苦しめられてたのか?
すんげー間抜けそうだけど。
あいつは、変な奴に騙されるほど馬鹿じゃない。
だからこそ、俺は目の前で目を見開いて、明らかに動揺してるこいつが深澤を苦しめたことが信じられない。
てことは…
こいつは、深澤に言うことを聞かせる何かがあったってわけだな。
「……すみません。ここに忘れ物をしてしまって。」
阿部が笑顔のまま切り込む。
ここに忘れ物って…
結構厳しい嘘じゃね?
いや、こいつアホそうだしそんなんでも騙せるか。
「わ、忘れ物……?」
わかりやすく動揺してるこいつは、震える声で俺らを見渡す。
「……」
焦った顔は、まるで何かを探すみたいに視線を動かす。
いるわけのない、あいつのことを探してるんだろ?
「今日は来ねぇよ。」
俺の言葉は、静かな倉庫の中に大きく響いた。
「……?」
固まる空気。
これ、言わない方が良かったやつ?
阿部は笑顔のまま凍りついて、照は驚いたように片眉をあげてる。
「………だ……」
「あ?」
ぼそっと呟いた丸山に、思わず不良みたいな返しが出る。
俯きながら呟くものだから、その声がよく聞こえない。
「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ!!!!!」
と思ったら、急にでっかい声を出して頭を振る。
びっくりした、急にでかい声出すなよ…
なるほどな…
こいつ、なかなかに面倒くせー奴じゃん。
こいつ、恐怖支配系タイプね。
自分に不都合なことがあったら、こうやってヒステリック起こし始める……いい歳こいて赤ちゃんかよ。
深澤はこんな奴を相手にしてたのか。
普通にすげーな。
俺だったら一発殴って二度と顔も見たくねーよ。
……深澤が、こいつの相手をしてた理由はなんだ?
枕とはいえ、初日のうちに俺らとかマネージャーに伝えるだろ。
深澤はそれをしなかった。
つまり、脅されてた……?
「はぁ……単刀直入に聞く。お前、ここでふっか…うちの深澤と何してた?」
俺の思考を遮るように、照の口が開く。
俺のせい…俺のおかげで!
無駄なごまかしの手間が省けたからな。
もう本題に移ろうってことだな。
「あ、変に誤魔化す必要はないよ。……もう、証拠が揃ってるから。」
目を泳がせながら言い訳を考える丸山に、阿部ちゃんが笑顔で、氷点下みたいに冷たい瞳で釘を刺す。
普段穏やかに微笑んでる阿部ちゃんからは想像できないような声音と視線に、丸山は絶句して凍りついた。
もう、お前に逃げ場なんてないんだよ。
俺も、阿部ちゃんの真似をして丸山のことを睨みつけた。
(深澤視点)
「ねぇ、佐久間!!ほんとに離してってば!ねえ!!」
「はいはい、あと少ししたら離すからね〜。」
くっそ…!
強い力で掴まれた身体はびくとも動かない。
なんなんだよ、本当に…!!!
もう、“ふっか“がわからないっていうのに…
このままじゃ、このままじゃ“深澤くん“ですらいられなくなる…!!
そしたら、そしたらどうなるの…?
俺…どうすれば……
知らない…何、“俺“ってなんなの…?
“ふっか“も“深澤くん“も失ったら、ここには何が残るの…?
「暴れんなって!これ以上抵抗すんだったら…まじ紐とかなんかで縛り上げんぞ。」
「………っ…」
なんなの……
なんで、こんなに邪魔するの…?
でも、抵抗したらまじで縛り上げられそうだし……
もう、だいぶ時間が経ってんだ。
抵抗しても、意味なんてない……
(岩本視点)
「………な、何も…」
まだごまかすつもりか…
明らかに動揺してるのは見て伝わる。
それでもしらを切るつもりだな。
ぜってぇにがさねぇからな。
阿部、翔太と視線を合わせる。
阿部は静かに頷いて、丸山の顔の前にスマホを突きつける。
「ねぇ、丸山さん?これはご存じですか?」
笑顔で突きつけたスマホには、俺らが集めてきた証拠の数々。
丸山は、今度こそ表情を凍り付かせた。
「………違う…これは全部、あのガキが……あのガキが選んだことだ!!!!」
一通り証拠を見せた後、1番に響いたのは焦りと怒りのこもった声。
あのガキ、だって……?
「ガキって、お前のがよっぽど幼稚だろーが。」
俺の考えを代弁するかのように翔太の声がさらに大きく響いた。
「違う!!ほら見ろ!!契約書だってあるんだよ!!!」
丸山は鞄を雑に漁って、一つの紙切れを出してくる。
「………照、確かにこれはふっかの字だよ。」
阿部は丸山から受け取った紙を険しい目で見つめる。
差し出された契約書とやらに書かれたサイン。
………ふっかの字だ。
でも、震えた文字だ。
どんな脅しで、サインさせたんだよ……
ふっかは、こんな奴に騙されるほどバカでもないし、俺らに相談するのを躊躇うぐらい俺らを信用してないわけでもない。
「なんでもするって言い出したのは向こうだ。俺はただ、あのガキに仕事を与えてあげてただけなんだよ。」
引き攣り笑いを浮かべながら、まだ必死に抵抗をしようとしてる。
こいつからは、これ以上は聞きたくないな。
どうせ話させても、出てくるのはふっかに対する悪意のある発言ばかり。
俺は、契約書を散り切りに破いた。
「……ぇ?照?!」
「おまっ!!何してんだよ!?」
阿部と翔太に肩を掴まれる。
「いい。これで十分だ。」
困惑する2人の肩を小さく叩いて、倉庫のドアに向かう。
いや、その前に……
俺は、散り切りになった契約書をかき集めてる丸山に近づく。
そのまま、俺は丸山の頭の横のぎりぎりを狙って、足を上げる。
ガンッ!!!!
鈍い音を立てて、俺の足は振り下ろされる。
もちろん、顔面には当たらないように。
丸山は怯えたようの目を見開く。
俺は、いつも以上の圧を瞳に映してこいつを見下す。
「………二度と、ふっかに近づくな。」
ただ一言だけ。
抑えていた怒気を孕ませた低い声で。
今度こそ、俺はドアノブに手をかける。
戸惑いながらも、阿部と翔太も後ろからついてくる。
「次、俺らの前に顔見せたらわかってるよな?」
「次はないですからね?」
翔太は睨みをきかせて、阿部は冷たい声で。
重い扉が閉まる音を後ろに、俺らはふっかを抑えてくれてるであろう佐久間に連絡を入れた。
コメント
3件
格好良スギた💛💙💚 皆で一生懸命💜を引き止める🩷❤🧡🖤🤍 やっぱ9人よね(*^^*)
あーーもう読んだ読んだ!!😭💕💕 第10話、渡辺くんの視点からの丸山のクズっぷりがもうね…「今日は来ねぇよ」からの「嘘だ!嘘だ!」ってヒステリック起こすとこ、きっしょ!でもそういうとこちゃんと書けてるからこそ、ふっかの苦しみがリアルに伝わってくるんだよね…。 岩本が契約書ビリビリ破いたシーン、マジでかっこよすぎて声出た!!「二度とふっかに近づくな」…ああもう、この絆が尊すぎて泣くわ…🥺✨ 佐久間くんはふっかを必死に止めてるし、チーム全員がふっかを守ろうとしてるのが伝わってきてもう胸熱…!!次が気になりすぎる!!