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奈美は帰宅して、買ったワンピースをすぐにハンガーに掛けた。
手洗いとうがいを済ませた後、シャワーを浴び、夕食を摂る。
以前の彼女だったら、夕食の後、まずはパソコンを立ち上げ、女性向けAVサイトで動画を見ながら自分を慰めていた。
けど、自慰行為をしなくなっている。
最後にしたのはいつだろう? 記憶にない。
今は、豪が買ってくれたCDを聴きながら、ネットサーフィンして寛ぐのが、仕事後の自宅での過ごし方だ。
時刻がそろそろ二十一時半になろうとしている。
この前は二十一時くらいに電話をしたけど、出なかったので、更に三十分遅らせてみる。
(掛けてみようかな。久々のドキドキタイムだ……)
奈美は、バッグからスマホを取り出し、発信履歴から豪の番号を表示させ、通話ボタンをタップした。
呼び出し音が、耳元で鳴り響く。
今回も十コール目で出なかったら電話を切るつもりだ。
四コール目……五コール目……六コール目…………。
以前と同じように、コール数を数えている自分がいる。
けど、ここまで来ると、出ない気がしてきた。
十コール目でも出なかったので、彼女は通話終了のアイコンをタップし、深くため息をついた。
(やっぱり出なかったか……)
なかなか豪と電話が繋がらない状況に、がっかりしてテーブルの上にスマホを置く。
すると数分後、突然画面が光り出した。
——着信:本橋豪
(え? 豪さん……?)
着信の表示を見た瞬間、鼓動が突然暴れ出す。
今にも心臓が、胸から飛び出してしまうのではないか、と思うほどバクバクしている。
奈美は、胸元に手を当てて深呼吸をした後、通話ボタンをタップした。