「 ねぇ ! 」
中履きに履き替えている最中 、
耳を劈く様な声に顔を顰めた
「 ねぇってば !! 」
もう一度耳を劈くその声に仕方なく振り向く
汐 依 「 朝から煩いんだけど 」
嫌そうにしたのに
「 羽多野先輩とどんな関係なの !? 」
好奇心と怒りを混ぜた様な顔で聞いてくる
羽多野 … 羽多野 …
聞き覚えのある名前に
丁度22時間程前の記憶を辿る
‘‘ 俺 、 高2の羽多野 透 ! ’’
汐 依 「 ぁー 、 なんか声掛けられた 」
物凄く端的に説明する
「 先輩は他人に興味無いんだよ ? 笑 」
「 嘘吐かないで ! 」
嘘じゃない言葉も
私の口から発せられた言葉は嘘になる
汐 依 「 私に気でもあるんじゃない ? 」
無性に巫山戯たくなって態と煽ってみる
「 は 、 正気 ? w 」
「 誰が御前なんか好きになんの w 」
真に受けちゃって可哀想
なんて屑の様な思考を廻らす
汐 依 「 授業遅れるからじゃーね 」
HR開始10分前のチャイムが校舎に鳴り響く
階段を2段飛ばしで掛け上がってゆく
ゴンなんて音がする
気付いた時には遅い
時差で足に鈍い痛みが走る
時空が歪む
「 ぁ 、 っぶね 」
汐 依 「 ぇ 、 あ 、 御免なさい ! 」
急ぎなのでなんて半分嘘を並べて顔も見ずに去る
きっと目を合わせたら殴られるから 。
「 君 、 昨日の ! 」
貴方とは3回目も可笑しな出逢い方をした 。
汐 依 「 ぇ 、 先輩 、 ? 」
また逢ったね ! と偶然の様に言う先輩
私には神による必然の様にも思えた 。
羽 多 野 「 名前聞いてなかったよね ? 」
あと怪我してない ? なんて
王子様でも無い癖に余計に心配してくる
汐 依 「 汐依です 、 高1の 」
年下か ! なんて嬉しそうに笑うから
‘ 彼奴ら ’ の事なんて忘れてしまう程に
私も顔を綻ばせた
汐 依 「 そろそろ行きますね 笑 」
もう少し話していたい気持ちを抑えて
階段を上がる
また地獄の様な場所へと行く
地獄 、 牢獄 、 監獄
‘ 彼処 ’ に相応しい言葉はどれも残酷だった
コメント
7件
みんなの前ではサバサバしてるのに、 羽田野くんの前ではちょっとお姫様感あるのらぶです🫶🏻💞 60閲覧とか凄過ぎんか、()
ちょっと低浮上すぎてごめん 0話60閲覧も有難う御座います 💗