こんにちは、けるもです。
本編どーぞ!!
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“一緒に、バンド組まない…?”
…え?
バンド…一緒に、バンド…
「無理なら全然いいんだ。あの、本当に、えっと、、」
透星は焦ったように後から言葉を続けていくが俺にはその言葉は耳に入らなかった。
1番最初に思ったのはやはり「やりたい」だった。
しかし、俺はピアノを弾けるだけ。
そんなのどこにでもいる。
それに俺はもう就職先が決まっているんだ。
それはもう“あいつら”に言っても変わらないことだろう。
第一、アーティストは「やりたい」だけでやっていけるものじゃない。
透星のように能力のある者か、日々努力に努力を重ねている者しかなれないのだ。
…無理に決まっているだろう。
「陽朔音?」
透星の声で我に返る。
「聞いてた?」
「へ?何を?」
頭の中で整理がつかず何も耳に入っちゃいない。
「答えが決まったら、教えてって」
「んあうん」
「申し訳ないんだけど、俺今から事務所の方に顔出ししなきゃいけないから」
透星は立ち上がると思い出したように俺の方を振り返り、言った。
「こんな立場で言っていいわけじゃないけど、、陽朔音が壁にぶち当たるんなら、俺、手伝うから。」
真っ直ぐと俺を見て、そう言った。
1階から店員の明るい声が響いた。
その声に反応するかのように透星は俺に手を挙げると階段の方に歩いていった。
「やりたい」こと。
それが出来る人生が良かった、とつくづく思った。
next…
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