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そしていよいよ長野へ出発する日がやってきた。


美空は一泊分の荷物を入れたリュックのポケットに、カメラの三脚を差し込んだ。

カメラは壊れないように専用のバッグに入れて持ち運ぶ。

服装は、デニムにアウトドアブランドのウィンドブレーカーを合わせることにした。おしゃれ感には欠けるが、星を観るにはこの服装がベストだ。なぜなら、今夜の原村の気温は7℃の予報だった。

さらに冷え込んだ場合に備えて、小さく折りたためるダウンもリュックに入れた。


準備を終えると、美空は家を出て、待ち合わせのターミナル駅を目指した。

電車に揺られながら、どんな星空が観えるかを想像すると、ワクワクしてきた。


目的の駅に到着し、電車を降りた美空は、待ち合わせ場所のロータリーへ向かう。

待ち合わせ場所には、結衣が先に来ていた。結衣は美空に気付くと、手を振りながら叫んだ。


「美空~! ここだよ~!」


結衣の傍には、植田と夏彦がいた。

美空は三人の傍まで行き、挨拶をした。


「先日はありがとうございました。今日はよろしくお願いします」


そう言って、ぺこりとお辞儀をする。すると、植田が笑顔で言った。


「いやぁ、この間は会田と先に帰ったからびっくりしたよ~! でも後で会田から聞きました。ごめんねー、無理に合コンに付き合わせちゃって!」

「いえ……こちらこそ、さっさと帰ってすみませんでした。でも、飲み会は楽しかったですよ」

「それならよかった。今日も参加してくれてありがとうね~」

「はい。星空すごく楽しみです!」


美空が笑顔で言うと、夏彦が初めて口を開いた。


「今日の夜は晴れの予報だから、期待できそうだね」

「はい」


美空はそう答えながら、さりげなく男性二人を観察した。

私服姿の二人は、合コンの時とは雰囲気が違って見えた。


自転車が趣味の植田は、スタイリッシュなカジュアルウェアで決めている。

黒スパッツの上に短パンを履き、鮮やかなオレンジ色のアウトドアジャケットを着ていた。

胸元のブランドロゴを見ると、美空には高価すぎて手が出せないアウトドアブランドのものだった。


(うわ~、やっぱり一流企業の人は私服にもお金をかけるのね……)


美空は心の中で呟く。


一方、夏彦は黒のカットソーにデニム、その上には美空と同じブランドのウィンドブレーカーを羽織っていた。


(あ、同じ!)


美空は一瞬嬉しくなる。

カジュアルな服装の萩原は、合コンの時より若々しい印象だった。

そこで、結衣が美空に言った。


「今日はあと二人、加藤と玲奈が参加するんだ」

「じゃあ合計六人?」

「そう」


結衣も、デニムにコットンセーターを合わせたカジュアルスタイルだった。

それを見た美空は、ホッとする。


その時、夏彦が美空のリュックを見てこう尋ねた。


「三脚があるってことは、カメラも持って来たの?」

「はい。もし晴れたら撮ってみようかなと思って」

「そっか。じゃあ赤道儀デビューしてみる? よかったら貸すよ」

「え? いいんですか?」

「もちろん!」


夏彦はそう言って微笑んだ。


(やった! ラッキー!)


思わず美空は、心の中でガッツポーズをした。

星空の聖地・原村で星空を観るだけでなく、赤道儀まで貸してもらえるのだ。

上手くいけば、自分のカメラで天の川が撮れるかもしれない。そう思うと胸が躍った。



その時、遅れて加藤がやって来た。


「ごめんごめん、遅れて」

「おめぇ、おっせーぞ!」


植田が茶化すように言うと、二人で意味もなくじゃれ合い始めた。

すると今度は、玲奈の声が聞こえた。


「すみません、遅くなりましたぁ~!」


声の方を振り向くと、花柄のワンピースにカーディガンを羽織り、ブランドのボストンバッグを手にした玲奈が小走りでやって来た。

そして、五人の前まで来ると、甘えるように言った。


「電車が遅れちゃってぇ~」

「玲奈ちゃん、あんまり遅いから来ないかと思ったよ」


植田がからかうように言うと、玲奈はすぐに反応した。


「植田さんひどいっ! 私、ドタキャンなんてしませんっ! あ~でも、間に合って良かったぁ~♡」


植田にからかわれた玲奈は、なんだか嬉しそうだ。


全員揃ったところで、加藤が口を開いた。


「じゃあ、出発しようか。おっとその前に、二台の車にメンバーを振り分けないと」

「どうするの? じゃんけん?」


結衣がすかさず聞くと、加藤がドヤ顔で言った。


「お前、バッカじゃねぇ? じゃんけんでどうやって二組に分けるんだよ」

「あ、確かに! じゃあどうするの?」

「ヘッヘッヘッ、そう思って俺がくじ引きを作ってきたから、みんな一本ずつ引いてくれ!」


加藤はそう言うと、バッグから取り出した竹串の束を持ち、皆の方へ向けた。

竹串は、男性用と女性用の二種類ある。


「キャッ、おみくじみたい~♡ 私、一番に引きたーい」


玲奈がはしゃいでいる。


「はいはい、じゃあ玲奈ちゃんからどうぞ」


加藤が竹串を差し出した。


「あ、青ですぅ~!」


他のメンバーも次々に引いていく。

その結果、玲奈と結衣は青、美空は赤。加藤と上田も青で、夏彦が赤だった。


「おっ、ちょうど天文オタクコンビの誕生だな。まぁ、長いドライブの間、天文談議で大いに盛り上がってくれ! じゃあ青チームは俺の車ねー!」


加藤はそう言って、スポーツカータイプのセダンへ三人を案内した。

玲奈は少し不満気に、チラッと夏彦の方を見ていた。

そんな彼女の様子にはまったく気付かず、夏彦が美空に向かって言った。


「じゃ、僕の車へどうぞ!」

「よろしくお願いします」


美空はペコリとお辞儀をして、夏彦の後をついて行った。

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コメント

11

ユーザー

もしかして仕組んであったのかなぁ〜(笑)どんな展開になるのか、楽しみ。

ユーザー

玲奈服装から勘違いしてますわよ。それじゃ風邪ひいて帰るわよ。場違い玲奈は青チーム🤣🤣🤣美空ちゃん夏彦さん行きは2人だけだから色々話が出来そうだね。

ユーザー

竹串を差し出すよりも、竹串で刺してやれ…。 物騒な発言すみません! 玲奈さん、やっぱりワンピとか着て来たね。 足元はヒール? 場違い感ありありだよ〜。

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