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そしていよいよ『ウーマンズレクチャー研修』~夢を叶える~ の講義が始まった。


人事部の30代女性社員が司会を務め理紗子の経歴や著書、映画化された作品についてをざっと説明する。

その時理紗子は廊下で待機していた。

説明が終わると司会の女性が声を張り上げて理紗子を呼ぶ。


「それでは水野リサ先生をお迎えしましょう。盛大な拍手をお願いします」


理紗子が大会議室に足を踏み入れると盛大な拍手と歓声が沸き起こった。

会場には200名以上の女性社員がぎっしりと座っている。


よく見ると前列の右手には理紗子の同期の亜美と早智子が座りこちらに手を振っている。

理紗子は手を振り返すと中心まで歩み出る。

そこからは椅子に座りトークショーの形式で対談が始まった。


まずは理紗子がこの会社で正社員として働いていた時の事を聞かれる。

社員時代に所属していた部署、社員時代に好きだった社食のメニュー、会社での思い出話等対談は楽しく進んでいく。

司会の女性の話の引き出し方が上手だったので理紗子はリラックスしながら時にユーモアを混ぜて笑顔で答えていく。


「理紗子先生の同期の方がこの会場にいらっしゃるとか?」

「はい。そこに座っている2人とは今も仲良くさせていただいています」


理紗子は笑顔で答えると二人を紹介する。すると亜美と幸子は照れ笑いをしていた。

そこで司会の女性が機転を利かせて同期二人の前まで行きインタビューを始めた。

突然自分達にマイクを向けられたので二人は緊張した様子だったが、当時の思い出話を色々と話してくれた。

理紗子は笑顔を浮かべてそれを懐かしそうに聞いている。


その後いよいよ本題の小説家になってからの話題へと変わる。


小説を書こうと思ったきっかけやネットの小説投稿サイトについて、そしてどうやって仕事と両立して続けていたかなどを詳細に質問される。

小説家としての第一歩を踏み出したきっかけについて聞かれると、理紗子は会場の一番後ろにいる磯山の方を向きあの人がきっかけをつくってくれたんですと言った。

その時会場の女性社員が一斉に磯山を振り返る。

急に女性達の注目を集めた磯山は照れたように愛想笑いを浮かべてペコペコしているので理紗子は思わず微笑んだ。

そこで理紗子はこう言った。


「彼が私の小説に目を留めてくれたから今の私があります。彼がいなかったら今私はここにいませんでした。だから私は心から彼に感謝をしています」


理紗子は今までの磯山に対する感謝の気持ちを目一杯込めてそう伝えた。

すると会場からは磯山に対する盛大な拍手が沸き起こる。


その時磯山はジンと目頭が熱くなるのを感じていた。

編集者冥利に尽きる。編集者になって本当に良かった……磯山は心からそう思った。


そして対談はいよいよこの研修のテーマでもある『夢を叶える』についての話になる。

理紗子は夢を叶える為に具体的にどんな行動を起こしたか? どうやってモチベーションを維持したか? 挫折しそうになった時はどうやって乗り越えたか? 等具体的な質問をされる。

理紗子はそれらの質問に一つ一つ丁寧に答えていった。


そして最後に『夢を叶える』為にここにいる人達にメッセージをお願いしますと言われたので理紗子はゆっくりと話し始めた。


「今やりたい事がある人はすぐにそれを始めて下さい。あれこれ理由をつけて先延ばしにせずにすぐにです。また既にやりたい事を始めている人はそのまま続けてみて下さい。続けるうちにどんどんチャンスが舞い込んできます。またやりたい事が見つからないという人は今目の前にある事を淡々とこなしていって下さい。そして常に選択し続けるのです。これとこれだとどちらの方がやりたいか、一つ選んだらまた次を選びます。一つ一つ選択しながら前に進んで行くのです。そうすれば自然とやりたい事に近づいて行きます。人生は常に選択です。日々の生活の中で小さな選択を繰り返すうちにあなたは夢へと確実に近づくでしょう。自分の心に正直に周りの環境に振り回されずに最良の選択をしていって下さい。そうすれば自ずと夢は叶いますから!」



理紗子が言い終わると盛大な拍手が沸き起こった。後ろで聞いていた磯山はうんうんと頷いている。

しばらく拍手は鳴りやまなかった。女性社員達は目の前で輝く理紗子を見て憧れと尊敬の眼差しでいつまでも拍手を続けた。


そこで対談形式の講義が終わった。

この後は10分の休憩を挟んで質問コーナーへ移る。


喋りっぱなしで喉が渇いていた理紗子がペットボトルの水を飲んでいると亜美と早智子が来て三人でのお喋りが始まる。

それを見た女性社員達が周りへ集まって来る。中には理紗子の著書を手にしてサインを求める女性もいた。


そしてその場は急遽サイン会へと変わる。そしてサインを求める列はどんどん伸びていった。

理紗子は一人一人に声をかけながら丁寧にサインをしている。


そんな理紗子の事を会場からじっと睨んでいる女性がいる事に理紗子は全く気づいていなかった。





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コメント

3

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↓ノルノルさんや華ちゃんの言う通り‼️ 傷付けられての恋愛小説を書く辛さ、苦しんで自分を責めて、でも理紗子ちゃん前を見続けた。そんな理紗子ちゃんの真面目で天然の姿を見てまわりが協力し力になってくれた。そして健吾との出会いが更に上へと導いてくれた。今の理紗子ちゃんは愛し愛され、自信に満ち溢れる輝くステキな女性だよね。 あなたとは、雲泥の差。醜く落ちぶれてて、睨んだってしょうがない。すでに勝負は決まってる。身の程知らずめ。邪魔するな〜っ😤

ユーザー

努力を惜しまず、周囲で支えてくれる人への感謝を忘れない理紗子ちゃん🍀 一方 勝手に彼女を羨み 妬み 、何の罪もない彼女から恋人を奪い 傷つけた留美。 もう明暗は歴然としてますよね....🤭 留美さん、せいぜい自分のしたことを反省、後悔し 、悔しがってください😁

ユーザー

理沙ちゃんの講義が始まったね❣️ 亜美さんと佐智子さんは同期で一緒に仕事をしてた理沙ちゃんが小説家として成功して講義をしてくれてるなんて感無量だね😂🥹✨🌸 講義の内容も分かりやすくて、今の自分にも当てはまる内容があってとてもためになる話だし、担当編集者の磯山さんも感謝の言葉を聞いて、編集者冥利に尽きるよね、理沙ちゃんの力になれて良かったね❣️そして見てたのは"略奪後輩の留美"だよね💢妬み女ザマァ🤪

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