テラーノベル
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一同が部室で頭を悩ませていた頃、龍河は自宅のキッチンに立っていた。
目の前にあるのは、普段から自宅に常備している超大盛りのカップ焼きそば。
龍河は出来上がった焼きそばを前に、何やら楽しそうに具材を並べていた。
「ここにおにぎり乗せて──」
二つのおにぎりを焼きそばの上に置き、さらに揚げ物を手に取る。
「ファ○チキ乗せたら──はいィィ〜完成ィィ〜」
自ら作り上げた豪快極まりない一品を眺め、龍河は満足げに笑った。
「焼きそば弁当背徳盛りィィ〜♬」
何とも頭の悪い弁当が出来上がったものだ。
だが、こういう不健康そうな食事が一番美味いのだ。
龍河は箸を手に取ると、勢いよく焼きそばを啜った。
「ずるずるずる──」
甘旨な濃いソースの味が口いっぱいに広がる。
「う〜ん♬たまんねぇ〜な〜♬」
満悦といった表情を浮かべた龍河は、そのままおにぎりにも手を伸ばした。
「最高〜♬」
あっという間に平らげると、龍河は満足そうに腹をさする。
そして、すかさず換気扇のスイッチを入れ、タバコに火をつけた。
「ふぅ〜・・・」
ゆっくりと煙を吐き出し、至福の余韻に浸る。
「飯食った後のタバコが一番美味ぇな〜」
龍河は煙草を指に挟みながら、しみじみと呟いた。
「この一服の為に飯を食ってる
って言っても過言じゃねーよな」
束の間の幸福を味わいながらも、頭の片隅には仕事のことがあった。
「でも記事になりそうなネタが中々見つからねーな」
龍河はスマホを手に取り、ツミッターやGoogolで記事になりそうな題材を探していく。
しかし、どれだけ画面を眺めても興味をそそられるものは見つからない。
「はぁ〜・・・記事にするレベルの話は中々ねーな」
以前、霊貴冥孤を巡る一件を記事にしたところ、予想以上の反響を呼んだ。
#普通
野々さくら
543
805
44
ありあ
159
というか炎上してしまった。
だからこそ、次に書く記事は慎重に選びたい。
「テキトーな記事書いて、また霊貴冥孤の時みたく
炎上騒ぎになったら今度こそガチでやべーからな」
龍河は深いため息を吐いた。
「はぁ〜・・・どうしたもんかな」
そう呟きながら、短くなったタバコを灰皿へ押しつける。
その瞬間、静かなキッチンに、スマホの着信音が鳴り響いた。
「ん?」
龍河は画面へ目を向ける。
表示されていた名前を見て、わずかに首を傾げた。
八乙女焔垂。
「八乙女くん?珍しいな」
何かあったのだろうか。
そう思いながらも、龍河は迷うことなく画面をスライドさせ、電話に応答した。
◇ ◇ ◇
「は〜い、どうした?」
電話に出た龍河が、いつもの気の抜けた調子で声を返す。
「あ、すいません突然」
電話の向こうから聞こえてきたのは、焔垂の声だった。
「今電話大丈夫っスか?」
「ああ、問題ない。今ちょうど
飯食い終わったとこだから」
龍河はキッチンにもたれかかりながら答える。
それにしても、焔垂から直接電話がかかってくるとは珍しい。
「それにしても電話なんて珍しいな。
もしかして何か面白そうなネタでも掴んだか?」
「面白いかどうかは分からないんスけど
実は馬場さんに聞きたい話があって」
「どんな話だ?」
「今ちょうどみんな居るんで
スピーカーにしていいっスか?」
「ああ、構わねーよ」
焔垂が通話をスピーカーへ切り替える。
「あ、すいません。白縫です」
聞き覚えのある声が聞こえ、龍河は僅かに表情を緩めた。
「ああ白縫さんか。久しぶりだな。何かあったか?」
「実は──」
コメント
1件
×××さん、第235話読みました!龍河の「背徳盛り弁当」のくだり、めちゃくちゃ笑いました。あのソースの香りまで伝わってきそうな描写に、ついお腹が空いてしまいました(笑)。でもその後のタバコの一服から仕事の愚痴、そして焔垂くんからの電話——日常のほのぼのから一気にシリアスな匂いが漂う展開が、すごく好きです。何の話が始まるのか、続きが気になります!