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ダメンズにダメ母、おまけに会社での嫌がらせ😱カワイソウ…😢 花梨ちゃんは真面目だから、一人で抱えこみそうで心配😰 でも柊さんが気にかけてくれていて良かった〜😌💓 彼なら ラーメン🍜を食べながらそれとなく上手〜く話題を引き出して、相談に乗ってくれそうだね…💕💕🤭
仕事が出来る人は事前準備も完璧にするから余裕を持って仕事が出来るのね^_^花梨ちゃん流石です❣️ それをそっと見守る超ハイスペックな上司の柊様も素敵❣️仕事の後も花梨ちゃんが断らない様に自然に誘っていく柊様策士❓いえ出来る男‼️なのですね 毎日の更新が楽しみです😊
柊さまのような上司が、本当に居たら毎日がキラキラしていて、気持ち良く仕事が捗りますねー^_^
「課長! まだいたのですか? もう帰られたと思ってました」
てっきり帰ったものと思い込んでいた花梨は、驚いて声を上げる。
「コンビニに行っただけだよ。どうしてもテリーズの缶コーヒーが飲みたくてさ」
「ああ……社内の自販機、今、修理中でしたっけ?」
「うん。俺は缶コーヒーはこれしか飲まないからな」
そう言いながら、柊は持っていた二缶のうち一缶を花梨の目の前に置いた。
「すみません、いつもご馳走になってばかりで……」
「気にするな」
そう返事をした柊は、課長席に戻って座った。
「課長も、残業ですか?」
「やり残したことがあってね」
「そうでしたか。あ、じゃあ、いただきます」
花梨は缶コーヒーを開け、一口飲んだ。
「美味しい……」
つい、そんな本音が口をついて出たが、柊はなにごともなかったかのようにパソコンに向かっていた。
(よし、私も早く片付けて帰ろうっと!)
花梨は気合を入れ、書類に集中した。
一時間後、柊がノートパソコンの電源を落とし、花梨に声をかけた。
「まだ終わらないのか?」
「あと少しです」
「手伝おうか?」
「大丈夫です。すぐに終わりますから」
10分後、ようやく花梨の作業が終わり、ノートパソコンを閉じた。
「はぁーっ! 終わったー!」
花梨は小さく呟くと、思い出したように柊の方を見た。すると、彼は携帯をいじりながらまだ座っている。
「あれ? 課長、まだいらしたんですか?」
「部下が頑張ってるのに先に帰れるか!」
「すみません……」
花梨は申し訳なさそうに謝ったが、そこでハッと思い出しこう言った。
「まさか、私がため息をついたのをまた見てしまったので、相談に乗ろうとか思ってません?」
「まあ、そんなとこだ」
「大丈夫です! 本当に、プライベートなことなので、課長には関係のないことですし」
「そうはいくか! 気になるだろう? で、今度の悩みはなんだ? 別れた男のことか? それとも、また円城寺さんの件か?」
「違います! 本当に大丈夫ですから……」
「まあいい……。とりあえずここを出よう」
「え?」
帰り道も課長と一緒かと思うと、花梨は少し憂鬱になる。
(もし課長と一緒のところを誰かに見られでもしたら困るわ……)
そう思いつつ、私物をバッグに詰める。
「行くぞ!」
「はい……」
花梨は仕方なく柊の後を追った。
オフィスビルを出ると、柊は駅がある右方面ではなく、左へ向かって歩き出した。
「課長! 駅はこっちですよ……」
「今日は車で来たんだ」
「え?」
予想外の言葉に、花梨は思わずポカンとした。
その顔に気づいた柊は、軽くウインクして言った。
「みんなには言うなよ!」
その瞬間、花梨の顔は真っ赤に染まり、耳まで熱くなる。
(ちょ、ちょっと待って……あのウインクは反則! 『王子様』がこんなことしたら、男にうんざりしている私だってドキッとしちゃうんだから……)
動揺した花梨は、ヒールの踵を石畳に引っかけよろめいてしまう。
その瞬間、たくましい腕がスッと伸び、倒れそうになった彼女の身体をしっかりと支えた。
「大丈夫か?」
「す、すみません……ちょっとボーッとしちゃって」
「気をつけろよ」
柊は花梨を真っ直ぐ立たせると、歩調を緩めて歩き出した。
花梨は、ドキドキと高鳴る心臓を必死に抑えながら、心の中でこう呟いた。
(花梨! あんたは何をそんなにドキドキしてるの? 彼は『王子様』なんかじゃなくてただの『上司』なのよ! あ、『ただの』じゃないか!『超ハイスペック』な上司だったわね……)
花梨が頭の中でブツブツ言っていると、前を歩く柊が振り返って言った。
「早くしろ!」
「は、はーい!」
花梨は考えるのをやめ、慌てて柊の後を追った。
10分後、花梨は柊の車の助手席で揺られていた。
彼の車は、アメリカ製のコンパクトクロスオーバーSUVで、イタリアのメーカーと共同開発したスタイリッシュなデザインが特徴だ。
車内には、新車らしい革張りシートの香りが漂い、洗練された高級感を醸し出している。
ピカピカに磨かれた黒い車体や内装を見て、花梨は思わず感嘆の息を漏らした。
(親会社から来たエリートだもの……やっぱり乗っている車も一味違うわ)
ふと卓也の国産車を思い出し、つい苦笑いがこぼれる。
「腹減ったな……せっかくだからなんか食べて帰るか!」
「え? だ、大丈夫です! これ以上、課長に甘えるわけには……」
「ははっ、そんな大げさなもんじゃないさ。美味いラーメンが食いたくなったから、付き合え!」
(え? ラーメン?)
柊の意外な発言に、花梨は思わず拍子抜けしてしまう。そして「ラーメンくらいならいいか」と思っている自分がいた。
「ラーメン、大好きです!」
「よし、決まりだな。じゃあ行くぞ!」
柊は笑顔を浮かべると、軽やかに車のスピードを上げた。