テラーノベル
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二〇二五年度がスタートし、ハヤマ ミュージカルインストゥルメンツも年度始めで慌ただしさを増していた。
圭は出勤すると、パソコンを立ち上げ、受信したメールをひと通りチェックする。
DTM事業部に異動して二ヶ月だが、ようやく部署の雰囲気に慣れてきた。
これまでの二ヶ月間は、彼の中に『副社長から課長に降格なんて、ふざけんな』といった気持ちも少なからずあったが、今は開き直っている、と言ってもいい。
業績不振と言われているDTM事業部で、業績アップを目指し、仕事に邁進しつつ、副社長の座に返り咲くのみ、だ。
十通ほど圭宛てにメールが受信され、一番下には『Hana』の文字。
ひとまず、一番上のメールから返信業務を、淡々とこなしていく。
最後に、Hanaからのメールを開いてみた。
『ハヤマ ミュージカルインストゥルメンツ DTM事業部 葉山様 お世話になっております。Hanaと申します。スマートミュージックで制作した楽曲が完成しました。デモ機をお返しに伺いたいと思っておりますので、都合のいい日程を教えて頂けると助かります。以上、よろしくお願いします』
パソコンのモニターを見ながら、圭は『おおっ……』と声を上げた。
そこへ、部長の柏木が出勤し、デスクへ向かう。
「部長、おはようございます。…………Hanaさんから連絡が来た。楽曲も完成させて、デモ機を返しに来社したいから、都合のいい日程を教えて欲しいそうだ」
「おお……Hanaさん、仕事が早いなぁ。よし、二週間後で日程を調整してみてくれ」
「了解」
圭は、さっそくパソコンに向かうと、Hanaにメールの返信をする。
(どんな曲を作ったんだろうな……)
彼女が作った曲を、楽しみにしている自分に、彼は戸惑いつつも、自然と笑みが溢れてしまう。
(何をニヤけているんだ…‥俺は……)
圭は、両手で頬をペチペチと軽く叩き、表情を引き締めさせる。
まだ先になるが、楽曲制作アプリ『スマートミュージック』は、正式にリリースされた際、ハヤマのホームページ上で特設サイトを制作し、Hanaのインタビューを掲載する予定である。
「少しずつ、準備を進めていかないと……」
圭は椅子に座り直すと、Hanaへ返信を打ち始めた。
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