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「圭子ちゃんたち、今からお買い物?」
「ううん、ちょっと早いけど匠ちゃんが、ご飯食べに行こうって言って
くれたから、夕飯作りから解放されて外食に行くの」
「いいなぁ~、圭子ちゃんは。旦那さんから大事にされちゃって。
匠平くんは背も高くてイケメンだし大手企業に勤めてて
年収も申し分なさそうで。
あれでしょ、私ちょっと調べてみたんだけど匠平くんの会社って
大手総合化学メーカーで、入社難易度むちゃくちゃ高いらしいって聞くじゃない。
高学歴でその中でも本当に頭脳明晰でトップレベルでないと無理らしいって
いうからすごいわぁ~。
この分譲だって5000万円は下らないっていうのに結婚と同時に
買ってるんだもの、すごいねー」
「淳子さんだってすごいですよ。ここの分譲購入してるんだから」
「1LDKだけどね。
私は築2年目の中古で買ってるけど、新築時の価格調べたら新築価格より
はるかに高かったのよね。
3年前だったら私も3LDKに入れてたのに……そう思うとちょっと悔しい~」
「そうなんですか……。
私はマンション購入にはかかわってないので何も知らなくて……」
「じゃあ、圭子ちゃんとかご実家からとか……は、1円も出てないの?」
「はい……」
「へぇ~、そうなんだ。じゃまっ、いってらっしゃい」
「はい、いってきます」
「匠平くぅ~ん、先日はありがとうございました」
圭子が会話を終えてこちらへ歩き出したところへ《と、同時に》、妻の背後から
小泉淳子が大きな声で俺に向けて礼を叫んできた。
驚いたふうな圭子が一度振り返り、そして不審そうな様子で俺のところまでやって来た。
俺は小泉に何も声に出して反応せず、圭子と連れ立って共用ラウンジから
エントランスへと移動して外の空間へと出た。