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唇を重ねながらも、筋張った指先は奏の纏っているキャミソールの肩紐に手をかけると、そのまま腰までスルリと引き剥がした。
唇を離した後、怜は奏の身体を視姦するように、まじまじと見つめている。
「昨日俺が付けた証……しっかり残ってる……」
「証……ですか?」
「そう。『奏は俺だけの女』っていう証……」
奏は何を言っているのか分からず、呆然としながら彼に眼差しを向けた。
「もしかして……奏は昨日俺が付けたキスマークに…………気付いてない……のか?」
「キッ……キスマークですか!?」
ほぼ裸に近い状態で、奏は素っ頓狂な声を上げ、思わず両手で口元を隠してしまった。
昨日、怜のマンションから帰宅し、すぐに入浴したが、特に鏡で身体の状態を確認する事もなく、そのままお風呂から上がったように思う。
そして今朝。
着替える時、上半身に発赤のようなものがあると気付いたが、蕁麻疹などの皮膚疾患に罹ったのか、と奏は考えていた。
思い返すと昨日、怜が奏の上半身に唇を這わせていた際、時折、鈍い痛みのようなものを感じてはいたが、まさかそれがキスマークを付ける行為だったというのか。
考えただけで顔も身体も熱ってしまい、怜に見られないように両手で顔を覆う。
「そうか。奏の身体に証を付けた男は……俺が初めてか。なら、キスマークがどんなものか……確認しようか」
怜はニヤリと唇を歪めながら奏の手を引き、壁にかかっている全身鏡の前に彼女を立たせた。
「っ!!」
鏡越しに映る自分を見て、奏は瞳を丸くさせ、言葉を失ってしまう。
デコルテ部分や二つの膨らみの上と下、尖端のすぐ横や左右の脇腹など、ざっと数えて七〜八個くらいは付いているのだろうか。
白磁の身体に怜が唇で咲かせた赤黒い華が異様に目立ち、更に羞恥に襲われる。
「今夜は……背中に華を咲かせようか」
奏の後ろに怜が回り込み、長い髪を右肩に寄せた後、そっと抱きしめた。
首筋に唇を這わせながら、怜の大きな手が柔らかな双丘を包み、焦らすように揉み回すと、奏が吐息を零し始めた。
「っ……んっ……」
頂に実る小さな果肉は色濃く変化し、怜からの愛撫を待ち望んでいるかのよう。
怜が二つの膨らみを弄りながら、指先で乳首を軽く引っ掻くと、奏の身体が僅かに震えた。
「ああぁっ……っ……んうっ……」
黒い瞳は潤み、唇が無意識にうっすらと開き、息がいやらしく弾む。
「奏。鏡越しに俺を見て」
色白の首筋に唇を落としながら、上目遣いで奏を射抜く怜に視線を絡ませた瞬間、奏の心拍が跳ね上がった。
妖艶さを纏った彼の瞳に、心が掻き乱れそうになり、堪らず顔を逸らすと、怜が奏の顎に触れ、全身鏡に顔を向かせた。
「奏は……俺に触れられると、こんな蕩けた表情をするんだ。鏡に映る自分の顔、見てごらん?」
「いっ……やぁ…………恥ずか……し……い……」
「恥ずかしいのか? 蕩けた表情の奏は…………綺麗だぞ……? とても……」
甘美で低い声が奏の耳朶に囁くと、それは彼女の鼓膜を優しく揺らす。
首筋を彷徨っていた怜の唇が、そのまま肩から滑らかな背中へ伝わせようとしていた。