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それから一同は、警察署での軽い事情聴取を終えて、梓の家に再び集まっていた。
「ねぇ?梓?これからどうすんの?」
聖奈が深刻な表情で梓に語りかける。
「う、うん・・そうだよね・・なんかもう・・色んな事が一気に起こり過ぎて・・考える余裕が無いっていうか・・」
梓は不安そうな表情でうつむく。
「あ、そうだよね・・そんな余裕ないよね・・ごめん・・」聖奈は頭を下げる。
「まぁ、当面の間はこの家で暮らした方がいいだろうな」
「やっぱ駿の家で一緒に暮らすのはダメ?」
梓は不安な表情で駿に問いかける。
「そんな顔すんなってば!別に俺の家に二度と来るなって言ってる訳じゃないんだから!俺もちょくちょく様子見に来るし、寂しくなったら俺の家に泊まりに来たって良いんだから!な?」
駿は梓の頭を優しく撫でながら優しく語りかける。
「そうだよ梓!梓はひとりじゃない!駿くんだけじゃなくて、私たち親友だって居るじゃん!私たちの親だって事情話せば泊めてくれるし!」
「そうそう!雛形先生だって居るんだよ?ね?雛形先生!」
「そうよ!金森さん!アナタは私たちみんながついてるわ!だから何も心配いらないわ!」
皆が梓を励ますように言葉を投げかける。
「う゛ん゛・・あ゛り゛がどう゛・・み゛ん゛な゛・・」梓は嗚咽混じりに涙を流しながら、皆に頭を下げる。
「まぁ、辛いことあって笑顔になんてなれないかもしれないけど、金森さんが笑顔になれるように、ここは私が料理でもしてなそうかな」
つかさは意気揚々と立ち上がり腕まくりをする。
「え?雛形先生の手料理!?食べてみたーい!」
「良かったね?梓!手料理だってよ!」
「雛形先生って料理めっちゃ上手いんだよ?」
梓の言葉に聖奈と沙月が目を見開いて驚く。
「え?その言い方・・もしかして雛形先生の手料理食べた事あるの?」
聖奈は身を乗り出して梓に問いかける。
「ま、まぁ、うん、食べたことあるよ」
「駿くんは?食べたことある?」
「ああ、何回かな」
駿と梓の話を聞いた聖奈は頬を膨らませ「2人だけズルくない?」と不貞腐れる。
「いいじゃない!アナタ達にも今から振る舞ってあげるから!」
不貞腐れる聖奈をつかさがなだめる。
「じゃあ私なんか手伝うよ!」沙月が腕まくりをしながら立ち上がる。
「あら?いいの?あならお願いしよっかな」
「な、なら私も手伝う!」沙月に触発されたのか、聖奈も立ち上がる。
「梓も一緒に・・って梓は料理出来なかったね」沙月が梓をバカにするように小さく笑う。
「ふん!いいもん!雛形先生にお料理教えてもらう約束してるから!いずれはうーんとお料理上達してやるんだから!」梓は頬を膨らませて駿に抱きつく。
「そして同棲した時に私が駿に言うの!今日はご飯にする?それともお風呂?それとも私?きゃー❤︎」駿は嬉しそうに笑みを浮かべながら駿の頬にキスをする。
「はぁ?同棲?そんな話きいてませんけど?どういう事ですか?皆川先生?」
つかさはものすごい形相で駿に詰め寄る。
「語弊がありますよ!語弊が!梓が高校卒業してからの話ですよ?今すぐに同棲って訳じゃないんですから!」
「いやいや、そこじゃなくて、何で同棲するの?って雛形先生は聞きたいんじゃない?別に付き合ってるわけじゃないのに」
聖奈が駿と梓に疑問を投げかけ、それに呼応するようにつかさがうなずく。
「あ!そっか!みんなにまだ言ってなかったね!私と駿は恋人同士になったんだよ?ね?駿❤︎」
梓の言葉に皆が目を見開いて驚く。
「え!?こ、こ、恋人同士!?」つかさが目を見開いて駿と梓を交互に見る。
「え?て事は・・もうシちゃったって事?きゃー❤︎」聖奈と沙月が互いに目を合わせてはしゃぐ。
「み、皆川先生!一線は越えるなってあれ程言いましたよね?それなのにあなたって人は!」
つかさが激昂して立ち上がり、駿の胸ぐらを掴む。
「ちょっと!ご、誤解ですよ!何もしてませんってば!な?梓?何もシてないよな?な?」
駿が梓に助けを求める。
「え?私・・初めてだったのに・・ひどいよ駿」
梓は見え透いた泣き真似をする。
「おいやめろ!その冗談マジで笑えないから!」
「ふふふ、ごめん!ごめん!みんな!安心して?駿とは何もシてないから!雛形先生も!駿を離してあげて?」
「そ、そう?ならいいけど・・」つかさは駿の胸ぐらから手を離す。
「マジで勘弁してよ・・・」駿は涙目になりながら自分の首筋を両手で押さえる。
それから皆はつかさの手料理に舌鼓をうつ。
「マジでおいしい!雛形先生の手料理!」
「うん!うん!こんなに料理上手かったなんて知らなかった!」
聖奈と沙月はつかさが作った酢豚を口に運ぶと、両頬を両手で押さえながら微笑む。
「私もこんなお料理作れるようになりたいな・・」梓がお茶の入ったコップを両手で持ちながら微笑む。
「大丈夫よ!金森さんならすぐに出来るようになる!」つかさはそんな梓の頭を優しく撫でる。
「ありがと雛形先生!」
梓は満面の笑みでつかさに抱きつく。
その日の深夜。皆が眠りについていた頃。
「う、うー・・・ん」深夜に目を覚ます聖奈。
聖奈はまだ完全に開ききっていない瞼を指で擦りながらスマホで時刻を確認する。
「まだ4時か・・もう一眠りかな?」
聖奈がスマホを閉じで再び眠りにつこうとする。しかし「あれ?梓は?」
そこには寝る前は同じベッドで寝ていたはずの梓の姿がなかった。
「どこいったんだろ?」聖奈はゆっくりと立ち上がり、同じ部屋で寝ている沙月とつかさを起こさないように、抜き足差し足で慎重に部屋から出る。
リビングでは駿はソファの上で目を閉じで横になってた。
そして聖奈がそれとなくベランダの方に視線を向けると、ドアが少しだけ開いており、ビュービューと風の音が薄暗いリビングに響いていた。
「ベランダが開いてる?おかしいな・・寝る時にキチンと確認したはずなんだけどなぁ・・」
就寝前には確実に閉まっていたはずのベランダのドアが開いているという目の前の現実に聖奈は首を傾げる。
「ま、まさか!梓?」聖奈の頭の中に最悪の予感が走る。
「まずい!」 聖奈が血相を変えてベランダへ走る。