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もぉ~(〃ω〃)🩷🩷🩷岳大さんの受け答えが好き🩷メッチャ好き🩷🩷🩷
八ヶ岳のホテルって「天使の〜」か何か瑠璃マリ様の小説出てませんでした?
岳大さんの叔父さまの八ヶ岳のホテルって、海斗さんと美月ちゃんがフェスの帰りに泊まったところかなぁ?場所が違ったかな? 楽しんでできてね〜💕 恵子さんナイス👍😉
コンビニから戻った二人はまた宴の席へ戻った。
流星は大好物のいくらの軍艦を頬張りながら、岳大がサンタになる事はやめて自分のお父さんになる為の試験を受ける事にしたと恵子や裕樹に説明している。
あまりにも嬉しそうに話す孫の言葉を聞き母の恵子も目を細めてうんうんと聞いていた。
その話を聞いて優羽は岳大がなぜ流星と二人きりで外出したがったのかがわかった。
岳大は流星が納得するようにきちんと説明をしてくれていたのだ。小さな流星に対する岳大の誠実さを見て優羽の瞳に涙がこみ上げてくる。
岳大は本当に流星の事をきちんと考えてくれていたのだ。そう思うと感無量で胸がいっぱいになる。
優羽は泣いている事を悟られないようにビールを取りに行くふりをしてキッチンへ行った。
そこで涙を拭っていると舞子がやって来て言った。
「佐伯さんは流ちゃんの事を本当にきちんと考えてくれているのね」
そして目を真っ赤にして泣いている優羽を抱き締め優しく背中をトントンと叩いてくれた。
優羽は舞子に寄りかかりながらしばらくの間感激の涙を流し続けた。
その後二人揃って和室に戻ると今度は岳大の家族についての話をしていた。
恵子が岳大の両親に挨拶をしたいと言うと両親は既に他界していると岳大が説明した。
岳大の母は10年前に癌で他界、そして父も8年前に脳梗塞で亡くなったと言った。
「お二人とも随分とお若くして亡くなられたのね」
「はい。両親はとても仲が良かったので父はまるで母の後を追うようにあっさりと逝ってしまいました」
岳大は残念そうに言う。
父親の死後何かと気にかけてくれる叔父の所へ優羽を連れて行って紹介したいと岳大が言うと皆は行っておいでと言う。
岳大の叔父は八ヶ岳でホテルを経営しているとの事だった。
「八ヶ岳でホテルですか? 素敵ですね。是非一度行ってみたいです」
裕樹が舞子の方を振り向くと舞子もうんうんと頷いた。
「是非紹介しますよ。もし行く時は伯父に連絡しておきますから遠慮なくいっぱいサービスしてもらって下さい」
そして携帯に地図を表示してホテルの位置と名前を裕樹に教えた。
優羽も横から覗き込むとホテルはロッジ風の素敵な建物で大自然の中に建っていた。
その時恵子が言った。
「今度流ちゃんの保育園でお泊り会があるわよね。その時に二人で行ってきたら?」
思わず優羽はドキッとする。
(お母さん、なんてことを言うの…)
優羽が母を睨むと恵子は優羽にウィンクをする。
恵子の申し出に岳大が笑顔で答えた。
「ありがとうございます。店のオープン前後はバタバタしてそんな余裕もなくなりそうですから、お言葉に甘えて今のうちに行って来ようかな?」
岳大がチラッと優羽を見ると優羽は真っ赤な顔をしてうつむいている。そんな初々しい優羽の様子に岳大は思わず頬を緩めた。
結局流星がお泊り保育の時に二人で岳大の叔父に挨拶へ行く事が決まった。
時刻はあっという間に夜の10時を過ぎていた。
流星はとうとう優羽の膝の上で眠ってしまった。優羽は二階の自分の部屋へ流星を連れて行く事にする。
今日優羽は実家に泊まる予定だ。
すると横からサッと逞しい腕が伸びてきて岳大が流星を抱き上げた。
「僕が連れて行くよ」
岳大は流星を抱いたまま階段へ向かった。優羽は慌てて岳大を二階へ案内する。
その様子を後に残った三人が微笑みながら見つめていた。
岳大は優羽の部屋へ入るとベッドの上にそっと流星を横たえた。
まだ出会ったばかりの頃、山荘で岳大がこうして流星をベッドまで運んでくれた事を優羽は思い出していた。あの頃がだいぶ遠い昔のように感じる。
あの時はまさか岳大と付き合うとは夢にも思っていなかった。人生とは不思議なものだなと優羽は思う。
流星はぐっすりと眠り起きる気配がなかった。
今日は興奮し過ぎてかなり疲れたのだろう。その愛らしい寝顔はまるで天使のようだった。
岳大は流星の寝顔を優しく見つめた後小さな本棚の前に行った。
そこには学生時代の優羽が当時よく読んでいたファッションやメイクに関する本が何冊もあった。岳大はその一冊を手に取りパラパラとめくって中を見る。
「君の青春時代はここで過ごしたんだね」
「はい、物はだいぶ処分しましたが部屋は当時のまま母が残してくれているので」
「君が本当にスタイリストになりたいと思っていた事がこの部屋を見てわかったよ。独学で色々と勉強していたんだね」
岳大はそう言って本を元の位置に戻した。
そして今度は本棚の上に飾ってある写真立てを手に取る。そこには優羽と女友達が笑顔で写っていた。
その写真を見つめながら岳大が聞いた。
「高校時代は彼氏はいたの?」
岳大がそんな質問をしてきたので優羽はびっくりする。
「どうしてそんな事を?」
「うん、なんでかな? 見えない相手に対するやきもち?」
岳大が少し戸惑ったように言ったので優羽はフフッと笑った。
「高校時代はバイトに明け暮れていて恋をする暇なんてなかったわ。あの頃は東京へ行く為のお金を貯めようと必死だったの。バイト以外は女友達とカフェでスイーツを食べたり買い物をしたり? それ以外はファッションやオシャレの研究ばかりでした」
優羽の答えを聞いて岳大はホッとした様子だ。
「そっか。今までやきもちなんて妬いた事はなかったのに、変だな」
岳大はそうと呟くといきなり優羽を抱き締めた。
ギュッと抱き締められながら優羽はやきもちを妬いた岳大の事がなんだか愛おしく思えた。
そして今度は優羽が質問をする。
「そういう佐伯さんこそ昔の恋人は? 何人くらいいたの? 数えきれないくらい?」
「知らない方が幸せな事もあるよ」
岳大はニヤリと笑って言う。
「ずるーい、私にだけ白状させて逃げるなんてずるいわ」
優羽がそう抗議すると岳大は優羽のおでこに優しくキスをする。
「過去はどうであれ、今は君だけだ」
岳大はそう言って優羽の髪に鼻を埋める。一方優羽は甘えるように岳大にギュッとしがみついた。
二人は流星がスヤスヤと眠るすぐ傍でいつまでも熱い抱擁を交わし続けていた。