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「気持ちはわかるけど、消防士なんていつ死ぬかわからないじゃないの? どんなにきれい事を言っても死んじゃったら、遥香を守れないんじゃないのかしら?」
今まで、口を閉ざしていた美咲さんが突然爆弾を落としてきた。
「それは…」
「私が彼を守ります。私の能力で彼とこれから生まれてくる子供を守って行きます」
「平井さん、知ってると思いますけど遥香は能力者なんです。未来を見たり、心の中を読んだり、人を操ったり、未来と過去に行ったり…この他にも色々な能力を持ってるんです。世の中の人から見れば化け物ですよ。そんな女性と本当に一緒になれますか?」
「遥香さんが能力者だというのは知ってます。でも僕は、遥香さんに未来が見えようが、僕の心を読もうが、人を操ろうが未来と過去に行こうが別に構いません。只、危険な事だけはしないで欲しいと思いますけど…。能力は遥香さんの個性です。それを含めて僕は遥香さんを愛しています」
「へぇ~、言うねぇ。私は絶対に反対だけど紺野くんはどう思う?」
「平井さん…今の言葉に偽りはありませんか?」
「ありません」
「そうですか…。それなら僕が反対する理由は何もありません。遥香をよろしくお願いします。幸せにしてあげて下さい」
僕は土下座をして遥香の幸せを頼んだ。
彼なら絶対に幸せにしてくれると思った。
何故なら、彼の言葉は僕が亜季ちゃんに言った言葉と一緒だったから…。
僕には亜季ちゃんも…葵も幸せにしてあげられなかったけど彼には出来ると思った。
「パパ、ありがとう」
遥香は土下座をしている僕の背中に抱きついてきた。
「遥香…悔しいけどパパの負けだ。こんな素晴らしい男性は何処を探したっていないよ」
「うん…」
背中が遥香の涙で濡れていくのを感じた。
「遥香、良かったわね?」
「うん、ありがとうお母さん」
「平井さん、遥香をよろしくお願いします」
「はいっ。絶対に幸せにします」
美咲さんは満面の笑顔で平井さんの手を握っていた。
「美咲さん、もしかして…」
「えっ!? 何?」
「僕に2人の結婚を認めさせる為に、あんな芝居を?」
「何の事? 言ってる意味がわかんないんだけど…」
美咲さん…‥
今回はあなたにしてやられたようだ。
和室で僕にノンアルコールビールを飲ませて酔わせなかったのも、遥香と平井さんの関係を反対したのも、全てあなたの策だったんですね。
僕は、最初から既に負け戦をしていたって訳か…。
「美咲さん…あなたの勝ちです」
「よくわかんないけど…私が勝ちならそれでいいわ」
美咲さんは顔を赤くしてとぼけていた。