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テラーノベル(Teller Novel)
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「 蒔田さんさぁ 、 もうちょっとテキパキ動いてくれないと困るんだよねぇ 、 笑 」


溜息混じりの文句に心が黒く塗り潰されそうだった 。


「 すみません 、 」


上司の機嫌取りも儘ならず 、 仕事も後輩より遅い 。


失敗 、 失敗 、 失敗


仕事に明け暮れる日々 。


心底 、 憂鬱だった 。


そして時々脳裏を過ぎる耳に心地良い声 。


‘ 卯木 杜真 ’


「 元気かな 、 笑 」


「 蒔田さん 、 お疲れ様でーす  」


隣に座るつもりらしい私より出来る後輩が爽やかに挨拶をしてくる 。


「 あ 、 お疲れ様です 」


気付いた頃には後輩でも敬語を使うようになっていた 。


「 誰のこと考えてたんですか ? 」


口角が僅か上がっている後輩に少し苦手意識が働く 。


「 ぁ ー 、 元彼ですかね 、 笑 」


「 え ー ! 未練があるんですか ? 」


ひとり黄色い声で話し出す彼女 。


「 もう8年くらい前なので自分でもよく解らないんですよね 」


携帯のロック画面を見詰めて思う 。


「 でも嫌いにはなってないですよ 」


懐かしい後ろ姿の写真に笑みを零して仕事に戻った 。


「 先輩って案外一途なんですね  」


「 良い人に巡り出逢えただけですよ 」


嗚呼 、 君が居ない世界は心底憂鬱だ 。


いっその事 、 消えてしまいたい 。


「 明日は日曜なので先輩ちゃんと休んで下さいね ! 」


優しい言葉のあとには ‘ お先に失礼します ’ なんて羨ましい言葉が降ってくる 。


帰りたい 。


夜景に浮かぶ黄色い花束

空白と言っても過言では無い大学生時代

憂鬱な社会人4年目


高校に戻って君に逢えたら何れ丈幸せか


携帯の液晶画面に映し出される彼は屹度今も眩いのに私だけ独り沈んでいく様で不安を募らせた 。


周りに人が居なくなり暗いオフィスで仕事と向き合う午後11時56分 。


パソコンの電源を落とした 。


明日は少し息を吐きに行こう 、

なんて考えながらオフィスから出た 。







私 の 長 い 走 馬 灯

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