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次の日
「これ返すよ」
夏の朝早い時間の独特な雰囲気の中、朝練に向かっている途中の美雪に声をかける。美雪が振り返ると何故か少し冷たい風を感じた。まるで雪が降った日のようなあの綺麗な結晶が一瞬で去るような感じがした。
美雪「ちゃんと読んだんでしょうね。」
少し疑うような怒っているような声で言ってきた。
「読んだよ。」
そう言うとマネージャーは少し顔が緩んだように感じた、嬉しそうにしているのかよく分からなかった。
でも、何故か僕は嬉しかった。自分でも分からない。心が温まっていく気がした。
美雪「ご褒美に朝練、一緒に行ってあげる。」
マネージャーは少し頬を赤らめながら上目遣いでこっちを見た15cm以上ある身長差でさらに可愛く見える。
なぜ、可愛いと思うのかは分からない。ただとても可愛く思った。
「別に一人でいいし….」
朝練に行くことを認めてしまった。上手いやつだ自分から誘って断り方は大抵決まっていて、その中に行かないという選択肢が少ないもの選んで言ってきた。はめられてしまった。
「はぁ…わかった行くぞ」
美雪「決まり!!」
二人で行くことになってしまった。こんな僕に関わってくるのは人生で2人目だ。
「なんで僕にこんな関わってくるんだ。」
美雪「決まってるでしょう?野球部員だからだよ。」
僕はほんの少しニヤリとしてしまった。すぐに真顔に戻す。
「そうか、それだけならいいや。」
美雪「逆にどんな理由があると思ったのー?」
僕でもわかる、絶対にからかわれている。でも可愛い子にからかわれるのは悪い気がしなかった。
「ほら学校ついたぞ。 」
美雪「あれ、もう着いちゃったかつまんないの。」
マネージャーは少し残念そうな顔をした。僕もほんの少し残念そうな顔をした。
夏の朝、やっと日が昇り始め照りつける太陽は暑いのに地面からの熱気はない、このよく分からない微妙な空気に晒されていた。
部活仲間に挨拶して平和に朝練が始まる。ほんの少し汗ばみ汗ふきシートで汗を拭いて学校へ行く。そんなありふれた部活だ。
美雪「部活、どうだった?」
「別に可もなく不可もない感じ。」
美雪「ちぇーつまんないの。」
#異世界転移
花月夜れん
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未だにこんな自分に関わってくる人間が本当に悪意がないのか疑っていた。明らかに怪しい、僕はこの女の子を絶対信じない。そう決めた。確実に信じられる証拠があるまで絶対に信じない。
「で、さっきからなんでついてくるの。」
美雪「なんでついてくるのって…..同じクラスだよ?」
「へ?」
びっくりしすぎてつい間抜けな声を出してしまった。しかし、それほどまでにびっくりしたのだ。こんな子がクラスにいたとは全く知らなかった。普段から人を見下して優越感に浸っていた。それなのに見下している人の顔と名前すら覚えていないなんて….。
「あ、その…..ごめん全く知らなかった。」
この時僕はびっくりした、あれだけプライドの高かった僕が躊躇なく謝れた。それだけでびっくりだった。
美雪「本当に失礼な人だね!」
怒っているのか怒っていないのよく分からない中間くらいの声で言ってきた。僕は反応に困った。怒っているならさらに謝るだけ、怒っていないならそのまま流してみるだけ。その選択さえさせてもらえないくらいの中間だった。
「悪かったよ。人の顔とか名前覚えんの苦手でさ。」
美雪「ふーんならいいけど……..ばか」
僕は回避した。マネージャーに怒られない方法を必死に探していた部員など部活弱めの高校ではあまり見ないだろう。
廊下では、色んな話をしている生徒がいた。その喧騒にマネージャーのばかという声は僕の耳に入ってすぐ掻き消された。
「ばかは余計だよ。」
美雪「ばーーか」
今度ははっきり言われてしまった。逃げに転じたのだ。ここは何を言われてもプライドが傷ついても許すしかない。僕はそう考えた。
「さっさと行くぞ。」
美雪「そういえばさ、私の名前知ってる?」
僕は一瞬ぴくっと動いて止まった。全く知らない、マネージャーの名前すら知らない。それをバカにされたらさすがにプライドが傷つく。
美雪「苦手なら覚えるまで言ってあげる。」
美雪「私の名前は教時 美雪ここ1年3組の美少女ランキング1位!!」
「….よろしく教時さん」
美雪「もー美少女ランキング1位にも触れてよーー!」
僕はすり減った自分の心に教え込むようにその名を心に刻んだ。
コメント
1件
うわああ第2話もめっちゃ良かった…!!😭💕 主人公の「可愛い…って思っちゃう自分」に戸惑ってる感じ、めっちゃキュンとする…!で、まさか同じクラスで名前も知らなかったってオチに「へ?」ってなったの分かるよ〜!美雪ちゃんの「ばーーか」も可愛すぎてずるい!!最後にちゃんと名前覚えるシーン、心に刻むって表現がエモすぎた😢✨ この距離感、尊い…続き待ってる!!