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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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それから新藤さんと再び音楽の話で盛り上がっていると、気がついたら九時を随分過ぎていた。


「すみません、こんなに遅い時間まで引き留めてしまって」


「いえ。律さんとお話できて楽しかったです。こちらこそ遅い時間までお邪魔してしまい、失礼いたしました」


仕事の時間を相当オーバーしたのに、彼は爽やかな笑顔を残して帰った。



あぁ新藤さん、その営業マンとしての反応、ステキすぎます。反則です!!



次の打ち合わせは土曜日か。また新藤さんに会えると思うと、楽しみでならない。

本契約になるので印鑑を忘れないように持参するように言われたので、今から外出用の鞄に入れた。

私は忘れっぽいところがあるから、これで安心。


もらったパンフレットに目を通していると光貴が帰って来た。

今日は専門学校でギター講師の仕事。夜間の授業が入っている時は早くても21時半頃の帰宅になる。今日は夕飯にラーメンを食べて帰るから帰宅は十時くらいになると事前に聞いていた。

時計を見ると十時すぎ。宣言通りの時間に帰って来る彼は、夕飯以外どこにも寄り道をしない。

たまに楽器屋へ寄って、知り合いの店員と喋って、ギターの弦を買って帰るくらいが関の山。浮気や遊びには、無縁の人だ。


「お帰り! お疲れさま」


光貴を出迎えて、ジャジャーン、と住宅用のパンプレットと仮契約書の控えを見せて発表した。「仮契約しましたーぁ」


「へー。いいやん」


手洗いを済ませ、早速小さなリビングソファーに座って光貴が資料に目を落とした。

この資料は一覧のファイルみたいになっていて、注文住宅のパターンがいくつか掲載されていた。

今風のスタイリッシュな外観の家、洋装の外観の家、日本家屋の外観。この中からパターンを決めて、その土地に合った大きさ等を決め、内装を考えていくらしい。

住宅展示場のモデルハウスになっている煉瓦の家は、洋装の外観の家のコーナーで紹介されていた。あの家も建てられるみたいだ。


「あっ。これ、かっこいいやん」


光貴の目に留まったのは、スタイリッシュな外観の家のひとつだった。色は白と黒から選べる建物で、タイルを重ねたような外観だ。実は私も一目で気に入った。


「これがいいな。これにしよう」


光貴は他のパンフレットを見もしないで、このパターンの黒色に決めてしまった。

私たちはいつもこうだ。あまりよく考えずに、インスピレーション重視で決めてしまう。


「光貴、気にいったのはいいけれど、今回作るのは家だxx

「別にいい。この黒い家、気に入ったから」


「そう」


速攻で終わってしまった光貴との打ち合わせ。この調子だと打ち合わせに時間はかからなさそうだ。

横並びの二人掛けソファーから立ち上がったら、彼に腕を掴まれた。


突然どうしたのかな?

DESIRE -堕ちていく あなたに奪われる- ~この愛は、罪~

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