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[数えられる恋は森で終わる]
あと残り6本、5本、4本、3本、ついに2本までになった。
切り株も、倒れた跡も残らない。
ただ、最初からなかったかのように並木の間隔が広がる。
青年は立ち止まり、しばらく何も言わなかった。
獣は謝ろうとして、やめた。
何を言っても、木は戻らないと分かっていたからだ。
木は減っていくのに、
思い出だけが増えていった。
あと残り三本の時ある変化が起きる。
獣の爪が伸び、声が低くなる。
人の言葉を忘れかける夜も増えた。
青年はそのたび、名前を呼んだ。
何度も、何度も。
深)戻ってきて!!!!!!!!!!!!!!!
その言葉だけは、獣の中に残った。
ある日
青年は初めて泣いた。
木の前ではなく、帰り道で。
深)慣れると思ってた、泣
と言って。
獣はその背中を見て、
自分が先に壊れていくのを感じた。
獣は青年に触れないようにする。
強くなりすぎた力で、壊してしまいそうだったから。
青年はそれに気づいていたが、何も言わなかった。
ただ、並んで歩いた。
並木道は、もう短い。
初めて来た日の半分もない。
獣は言う。
照)来なくてもいい
青年は首を振る。
深)数えるのは、ひとりじゃできないからだった。
最後から二番目の木が消えた朝、
森は異様なほど静かだった。
風も、鳥の声もない。
残ったのは、たった2本の木と、
終わりを知りすぎたふたりだけ。