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……それにしても、こうして不機嫌に歪める顔すら美しいとは。
確か、今年で十六、いや、十七になるのか。
磁器のように輝く白い肌……。
鼻筋通る面差しには、切れ長の瞳が光っている。
あと、余年もすれば、この瞳は熟した色気をかもし出す。
まだ、女としては未成熟だが、それでも、十分に美しい。
ジオンからすれば、これからが楽しみで仕方ないといったところだろう。
ミヒを拾ったあの時、ここまで美しく育つとは、思っていなかった。
でも……。
あの時、佇むミヒを、拾ってよかったのだろうか……。
(……見て、お花……きれいね)
花が綺麗だと言葉を発したミヒを、ジオンはためらいなく抱き上げた。
ウォルの脳裏に昔の記憶が駆け巡る。
「ウォル?ジオンは、帰ってしまったんでしょ?」
ミヒの声で、ウォルは我に返った。
「ミヒはお利口さんだね。……でも、安心して。ジオンは、すぐに戻ってくるから。本当だ」
結局、またジオンを彼女から取り上げてしまった……。
宮殿は、来月の成婚の儀式の準備で、目まぐるしく動いていた。
女官長も含め、重鎮たちに、王と相談したいといわれては。
そして、ジオンは、ウォルの立場を読みとり、宮殿へ帰ってしまった。
面倒なことを済ませてまた戻ってくればいいだろうと、板挟みにあうウォルに微笑みかけたのだった。
自分が来たことで、ジオンは帰った。
余計なことをしてしまったと、ウォルは己を責める。
部屋に戻ると、食事の支度はできていた。二客の磁器が並んでいる。
本当は、ジオンとミヒのために配されるはずだった器……。
ミヒは黙って席に付くと、用意された粥を見た。
しょげかえるミヒを前にして、ウォルの胸はいっそう締めつけられた。