テラーノベル
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その頃死後の世界では、皆が置かれた状況を受け入れる事ができずにあたふたしていた。
「死後の世界って・・・」
朝陽の表情が一気に青ざめる。
「なら僕らは死んじゃったって事ですか!?」
「うっそ!?まじで!?」
さくらも驚きの声を上げた。
しかし、信愛は静かに首を横に振る。
「いや、それは違うと思う」
「どうしてそう思うの?」
美沙が尋ねると、信愛は泣きじゃくる佳苗へ視線を向けた。
「多分、佳苗が私たちを避難させてくれたんだよ」
「避難?」
朝陽が聞き返す。
「あのまま私たちが事務所に居たら
間違いなくあの社長に殺されてたでしょ?」
「まあ・・・そうだよね」
さくらが納得したように頷く。
「それに佳苗は、私とこっちの
世界に居るお母さんをトリガーにする事で
あの世とこの世を自由に行き来する事が出来る」
信愛は自分の考えを整理するように続けた。
「それを利用して私たちを助けてくれたんだよ」
そして、改めて周囲の花畑を見渡す。
「そう考えれば、私たちが
死後の世界に居る事にも説明がつくから」
「な、なるほど・・・」
朝陽はようやく状況を理解し始めたようだった。
だが、美沙だけは話についていけず、困惑した顔を浮かべている。
「ちょっと待って白縫さん
死後の世界とかトリガーとか・・
さっきから何の話をしてるの?」
信愛は美沙の方を向いた。
「実は──」
信愛は、佳苗という少女の存在について美沙に説明した。
佳苗がすでに亡くなっていること。
そして、現信愛と母親をトリガーとして、この世とあの世を行き来できること。
一通りの説明を聞き終えた美沙は、しばらく言葉を失っていた。
「な、なるほど・・・」
ようやく理解した美沙の横で、さくらがふと疑問を口にする。
「でもさ?それだったら元の世界に戻れなくない?」
その言葉に、信愛の表情が曇った。
「それなんだよね・・・佳苗がこの世に
来れたのは私が居るからだろうし・・・」
そう、佳苗があの世から信愛たちが暮らす現世来れたのは、現世にいる信愛の魂をと共鳴していたからだ。
だが今、その信愛自身が佳苗と共に死後の世界へ来てしまっている。
それはすなわち、佳苗は現世に感じ取れる魂が無いため、信愛を連れて帰る事が出来ないと言う事を意味していた。
「じゃあ僕らはずっとこっちの
世界から出れないんですか!?」
朝陽が声を上げる。
「わああああん!」
その言葉に責任を感じたのか、佳苗がまた泣き始めた。
「ごめんなさぁ~い!わああああん!」
「あ、いや、その、な、泣かないで!ね?」
朝陽が慌てて佳苗をなだめようとする。
信愛は泣き続ける佳苗を見つめながら、心の中で元の世界に戻る方法を必死に模索していた。
その時だった。
「もう!いつまで泣いてんのよ!」
突然、聞き覚えのある声が響いた。
信愛が驚いて振り返るとそこには千歳が立っていた。
「ち、千歳!?」
「千歳さんってあの古海商店街の!?」
さくらは目を見開く。
「うん・・・その千歳」
千歳は若干呆れたようにを信愛見る。
「なんか面倒な事になっちゃったみたいね」
「そうなんだよね・・・」
「わああああん!」
佳苗は相変わらず泣き続けていると、千歳は堪忍袋の緒が切れたように声を上げた。
「だーもう!うるさいなぁ!だいたいね!
アンタが助けてなかったらどのみち
みんなはあのおっさんに殺されてたよ!」
「わああああん!」
「はぁ~・・・もう」
千歳は深いため息をつき、頭を抱えた。
すると朝陽が申し訳なさそうに手を挙げる。
「あの・・信愛先輩?この千歳さんって
この前霊貴冥孤の時に助けてくれた人ですよね?」
「うん・・そうだけど・・」
「この千歳さんもこ佳苗ちゃんと同じように
先輩が過去に除霊した霊なんですか?」
「うん・・まぁ、詳しくは後から話すけどね」
「なんか漫画みたいな話ね・・・」
美沙は目の前にいる佳苗と千歳が霊だという事実を受け止めきれず、開いた口が塞がらない様子だった。
美沙がぽつりと呟くと、さくらも困ったように眉を下げた。
「でもホント、どうすんの?」
「それなんだよね・・・」
信愛は考え込むように視線を落とす。
「佳苗のトリガーである私がこっちに居るから
佳苗は私たちの世界に行けないはずだし・・・」
佳苗は依然として泣き喚いている。
「わああああん!私、座敷童子なのにぃ~!
みんなに幸せあげるのにぃ~!わああああん!」
「あーもう!」
千歳が呆れたように声を上げる。
佳苗はますます泣きじゃくり、今度は母親を呼び始めた。
「お母さ~ん!千歳にいじめられた~!」
佳苗は母である美波に抱きつく。
「何で私!?何もしてないでしょ!」
千歳が思わず声を張り上げる。
そのやり取りを見ていた信愛は、ふと何かに気づいた。
「お、お母さんって、もしかして・・・」
「はいはい、泣かないの」
佐藤美波が佳苗の頭を優しく撫でる。
信愛は目を見開いた。
「あ、あの人・・・」
「え?今度は誰ですか?」
朝陽が首を傾げる。
「多分、佳苗のお母さんだよ」
信愛は美波を見つめながら答えた。
「佳苗の魂に刻まれた記憶で見た・・・」
コメント
1件
うわあ…第193話、読み終わりました……! 死後の世界で皆が戸惑う中、信愛ちゃんが冷静に状況を整理してるのが印象的でした。特に佳苗ちゃんが「座敷童子なのに〜!」って泣き叫ぶところ、切なくて胸がギュッとしました😢 千歳さんがツッコミ入れてくれて、ちょっと空気が和んだのも良かったです。最後の「お母さん…?」って信愛ちゃんが気づくシーン、めっちゃ気になります!続きが待ちきれないです🤍🥀
#普通
野々さくら
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44
ありあ
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