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#普通
野々さくら
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ありあ
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そんな美波は信愛の存在に気づくと、優しく語りかけてきた。
「あなたが信愛さんね?いつも佳苗から話は
聞いてるわ。救ってくれた恩人だって・・」
そして、穏やかに微笑んだ。
「アナタがいたから私もこうして佳苗と
また会う事が出来た・・本当にありがとう」
「あ、いえ、そんな・・・」
信愛が戸惑っていると、佳苗が涙を浮かべたまま口を開いた。
「私・・・信愛を助けたかっただけなの」
声が震える。
「なのに・・ぐすっ、こんな事になっちゃって」
「分かってるよ、佳苗・・・」
信愛は優しく答えた。
「信愛・・・怒ってないの?」
「怒るわけないよ」
信愛は迷うことなくそう言った。
「助けてくれてありがとうね、佳苗」
「信愛・・・ぐすっ」
その様子を見ていたさくらが、現実的な問題を口にする。
「でもさ?どうやって帰るわけ?
そこが一番重要じゃない?」
「そこなんだよね・・・」
信愛も再び考え込んだ。
このままでは佳苗を元の世界へ帰す方法が分からない。
やがて信愛は、一つの可能性を口にした。
「私以外に佳苗の魂に刻まれた記憶を
見た人がいれば、その人をトリガーにして
佳苗が私たちの世界に行けると思うんだけど」
「そんな人居るんですか?」
朝陽の問いに、信愛は小さく首を振った。
「分からない・・・」
そんな中千歳はひとり、顎に手を当てて、何やら考え事をしているらしく、黙り込んでいた。
そんな千歳を不思議に思った信愛が語りかける。
「千歳?どうかした?」
信愛が呼びかけると、千歳はゆっくりと顔を上げた。
「信愛?もう一度確認したいんだけど」
一拍置いて続ける。
「信愛は佳苗の魂に刻まれた記憶ってヤツを見たから
佳苗と魂で繋がった状態になったのよね?
私とそうなったみたいに・・・」
「うん・・・」
信愛が頷く。
千歳はさらに問いかけた。
「ならさ?仮に魂に刻まれた記憶を見てなかった
としたらそうなってた可能性はある?」
「分からない・・・」
信愛は少し迷ってから、静かに続けた。
「こんな経験、佳苗が初めてだから」
千歳はその答えを聞き、考えを整理するように口を開く。
「ならやっぱり、魂に刻まれた記憶を見た事が原因?」
「そうだと思う・・・」
信愛が頷くと、千歳の表情がわずかに変わった。
「ならさ?私の魂に刻まれた記憶を
見た人間が信愛以外に居たら──」
そこで言葉を区切る。
「私がそいつをトリガーにしてみんなの
世界に行ける可能性はあるって事だよね?」
「その可能性はあるかもしれないけど・・・」
信愛は眉を寄せた。
問題は、そんな人物が本当に存在するのかということだった。
「そんな人が居るか──」
「居るじゃん!ひとり!」
千歳が勢いよく言い切る。
「え?」
突然の言葉に、信愛は目を丸くした。
「八乙女くんって言ったっけ?
ほら!今、骨折して入院してる子」
「焔垂くん?」
なぜここで焔垂の名前が出てくるのか。
信愛が不思議そうに首を傾げた、その瞬間だった。
「なんで焔垂くんが──」
その時、信愛の脳裏にある記憶が鮮明に蘇る。
「ああああ!そうだったー!!」
突然声を荒らげた信愛に、さくらが驚いて顔を向ける。
「何?急に大声出したりして」
「焔垂くん・・・見てるよ!
千歳の魂に刻まれた記憶!」
「え?そうなんですか?」
朝陽も驚いたように目を見開く。
千歳は信愛の言葉を待つように、黙って耳を傾けていた。
「私ね・・一度、彼に取り憑いた事があるの」
「その時に朧げではあるけど
焔垂くんは確かに千歳の魂に刻まれた
記憶を見てるんだよ!今思い出した!」
「ああ、そう言えば茜が言ってたね」
さくらも以前聞いた話を思い出したらしい。
「下手な絵で説明されたって言ってた」
それなら、可能性はある。
朝陽が一つの仮説を口にする。
「だったら千歳さんが焔垂先輩をトリガーにして
僕らを現世に連れて行けるって事ですか?」
信愛は少し考えたあと、ゆっくりと頷いた。
「その可能性はあると思う・・・」
確証はない。
だが、今の彼女たちに残された手掛かりは、それしかなかった。
信愛は千歳を真っ直ぐに見つめる。
「やってみてくれる?」
千歳は迷うように一瞬だけ黙り込み、それから覚悟を決めたように頷いた。
「分かった・・・やってみる」
コメント
1件
うわ、焔垂くんここで繋がるんだ…!千歳が「他に記憶を見た人居るじゃん」って言ったとき、ゾクッとした。伏線がちゃんと回収されるの、気持ちいいね。信愛と佳苗の優しいやり取りも沁みたし、焔垂くんがトリガーになるかどうか、続きが本当に気になる。×××さんの紡ぐ闇と優しさ、どっちも好きです。